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2022年6月14日 | プレスリリース 「妊娠うつ・産後うつ」の予兆検知技術の確立へ
メロディ・インターナショナル、京都大学、熊本大学と共同研究

島津製作所は、6月14日にメロディ・インターナショナル株式会社(以下、メロディ)、京都大学、熊本大学とともに「妊娠うつ・産後うつの発症・重症化を防ぐための兆候を検知する技術」に関する共同研究を開始しました。近年、妊娠中・産後に発症するうつは、深刻な社会問題になっています。国立成育医療研究センターなどのチームの研究では、産後1年間に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定された母親は10.8%に上りました。また、2015~2016年に妊娠中から産後1年未満に亡くなった女性の死因は自殺が最多でした。4者はメロディの心拍変動解析技術と当社の心電デバイスを組み合わせることで、妊産婦のうつの発症・重症化の防止を目的にした「自律神経のバランスが崩れる予兆の検知技術(汎用アルゴリズム)」を開発していきます。

香川大学発スタートアップであるメロディは、離島や医療過疎地の多い地元瀬戸内地方での産科医療の問題、さらには世界の発展途上国での「産科医不足」の課題に向き合い、解決策としてモバイル胎児モニターを開発・製品化して遠隔医療の普及に貢献してきました。このたびは、胎児モニタリングの知見を活かし、周産期のみならず、妊産婦が抱える課題により広範なソリューションを提供するため、産前・産後のメンタル不調という社会課題に取り組むことといたしました。

島津製作所は2020年10月にマルチデバイス生体計測システム「HuME(Human Metrics Explorer)™」を開発しました。「HuME(ヒューム)」は、様々な生体信号の複合解析を基にした「感性価値の創出」を目指すプラットフォームであり、心電デバイスは「HuME」の構成技術の1つです。これまで当社は、社外の研究機関・企業に「HuME」試用版を提供して、オープンイノベーションによって「HuME」の社会実装を進めてきました。メロディおよび京都大学、熊本大学との共同研究に心電デバイスを提供することにより、「HuME」技術の用途を感性計測からデジタルヘルス領域へも拡げる第一歩となります。また、現中期経営計画において「世界のパートナーと積極的に協業して社会課題を解決するための仕組み作り」に注力してきました。その一環としてのスタートアップ・研究機関との連携は、「フェムテック」(女性の抱える課題を解決する技術)分野では初の試みとなります。

メロディと島津製作所の連携は、昨年10月に「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」(スタートアップ・中小企業による公共調達の活用推進プログラム)にて「産後うつの発症・重症化を防止するための産後うつ兆候検知技術」として認定されています。京都府などの協力を得て、今年2月までに妊産婦、医療従事者、自治体、民間事業者を対象に80件以上のニーズ調査を実施しました。その結果、「妊産婦が自治体や医療機関に相談するきっかけとなるデバイス」の需要を確認し、開発を検討してきました。2023年末までの共同研究において、妊娠中・産後うつの兆候検知につながる汎用アルゴリズムを構築して、メロディによる2024年度のサービス提供開始に向けて協力してまいります。

写真:「HuME」心電デバイス

写真:「HuME」心電デバイス

 

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