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2020年10月2日 | プレスリリース 複合計測による感性価値の創出へ
マルチデバイス感性計測システム「HuME」試用版の提供を開始

島津製作所は、マルチデバイス感性計測システム「HuME(ヒューム)」(Human Metric Explorer)を開発しました。「HuME」は、心拍や心電、筋電位、脳波、視線、発汗、姿勢、瞳孔径などの複合的な計測データを基にした「感性価値の創出」を目指すプラットフォームです(※1)。10月以降、協業を目的に社外の研究機関や企業への「HuME」試用版の提供を開始いたします。当社は「HuME」の社外提供というオープンイノベーションを通じて、感性計測分野での応用技術開発・社会実装を目指します。

人間の心理状態は、様々な行動や生理信号として表れます。これらを総合的に解析することで、無意識下を含めた人間の内面を分析できるようになります。利用者・消費者自身も気づいていない商品・サービスの潜在的な価値を顕在化できれば、画期的な製品開発やサービス改善につなげられます。

ただし、被験者から集める計測データは、機器間の連携やデータ統合に時間や手間がかかります。マルチデバイス感性計測システム「HuME」は、画像(表情、瞳孔径、作業姿など)と生理信号(脳波、心拍、呼吸、筋電位、発汗など)、さらに集中力、いら立ち、悩みなどあらゆるデータを一元的に解析できます。取り扱うデータの種別に制限がないため、目的に応じて計測機器を組み合わせられます。感性計測分野の研究で課題となっていたデータの収集・統合・解析がスムーズになります。「HuME」試用版は、弊社独自のウェアラブル型の感情推定デバイスと心電デバイスを標準構成として用意しています。市販の脳波計など各種デバイスとの連携も可能です。

感情推定デバイスに搭載する技術は、当社と公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構、国立大学法人京都大学、株式会社プロキダイとの共同研究の成果です。この研究は、科学技術振興機構(JST)の支援を受けた「けいはんなリサーチコンプレックス」事業の一環として実施されました。京都大学の佐藤弥准教授らが研究してきた「表情から感情を推定し、ラッセルの感情円環モデルをベースに表現する技術」がベースになっています(※2)。この技術では、口角や眉の表情筋を動かす電気信号(筋電位)をもとに快/不快を、発汗などの生理活動から活性/不活性を、定量的に捉えます。共同研究では被験者に卓球などの競技、お笑い番組・報道番組を視聴してもらい、カメラ撮影や目視では確認しにくい、わずかな表情の変化による反応を捉えることができました。

※1 感性価値とは、利用者・消費者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることによって顕在化する製品・サービスの価値を指します。

※2 ラッセルの感情円環モデルは、横軸に快/不快、縦軸に活性度を用いた平面上に喜怒哀楽の感情を表現した2次元感情モデルで、心理学ではよく使用されます。

 

「HuME」画面イメージ

「HuME」画面イメージ

「HuME」紹介動画では、解析例として被験者2人が生体信号の計測デバイスを身に付けてゲームをしています。上記「HuME」画面イメージには2人の動きや生体信号(波形)が表示されています。詳細は動画をご覧ください。

感情推定デバイス

感情推定デバイス

心電デバイス

心電デバイス

「HuME」試用に関するお問い合わせはこちら
https://solutions.shimadzu.co.jp/form/standard/contact_HuME.html