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2022年11月16日 | プレスリリース 世界で唯一、赤外分光法とラマン分光法の一台二役を実現
赤外ラマン顕微鏡「AIRsight」を国内外で発売

製品写真:フーリエ変換赤外分光光度計「IRXross」と接続した赤外ラマン顕微鏡「AIRsight」

製品写真:フーリエ変換赤外分光光度計「IRXross」と接続した赤外ラマン顕微鏡「AIRsight」

島津製作所は、11月16日に赤外ラマン顕微鏡「AIRsight(エアサイト)」を国内外で発売します。本製品は、赤外分光法とラマン分光法という2つの分析手法を同一の装置で行える、普及機種として世界唯一の顕微鏡システムです。化学や電機・電子、機械・輸送機などにおける微小異物解析や品質管理だけでなく、社会課題であるマイクロプラスチックの研究にも役に立ちます。

赤外顕微鏡は、赤外分光法を用いた分析装置と光学顕微鏡を組み合わせた顕微鏡の一種です。定性に用いるデータベースが充実しており、異物検査で多く使用されています。一方、ラマン顕微鏡は、ラマン分光法で得られるラマンスペクトルを検出し測定する分析装置と光学顕微鏡からなる装置です。赤外顕微鏡が不得意とする水溶液や無機物、微小なサンプルの分析に効果を発揮します。

本製品は、赤外分光法とラマン分光法を1台の顕微鏡で実現しました。極微小部の同一箇所における赤外スぺクトルとラマンスペクトルを取得可能なオンリーワン顕微鏡です。赤外スペクトルとラマンスペクトルからは相互に補完する情報が得られます。本製品ではサンプルを移動させず、同一ステージで両スペクトルを取得できます。さらに、赤外顕微鏡とラマン顕微鏡を2台設置する場合と比べて、設置面積を削減できるだけでなく、同じソフトウェアで2手法を制御でき、操作性も向上します。なお、本製品の使用にはフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)との接続が必要です。

島津製作所は、今後も様々な用途でより正確な分析データを提供し、異物分析やマイクロプラスチックといった社会課題の解決に貢献してまいります。

  • 注1:本製品に接続できるFTIRは、「IRTracer-100」「IRXross」「IRAffinity-1S」の3機種です。コンパクトFTIRである「IRSpirit」には接続できません。
  • 注2:「AIRsight」「IRTracer」「IRXross」「IRAffinity」「IRSpirit」は、株式会社島津製作所の登録商標です。

新製品の特長

1. サンプルを動かさずに赤外とラマンの両測定が可能

赤外ラマン顕微鏡ステージにサンプルをセットすれば、あとはサンプルを移動させることなく、極微小部の同一箇所における赤外スペクトルとラマンスペクトルの取得が可能です。今まで2機種を使用した分析時に必要だった、測定部位を探す時間が不要になります。本製品には、当社独自の広視野カメラと赤外用顕微カメラ、ラマン用対物レンズを搭載しています。広視野カメラでは最大10×13 mmまで観察できるだけでなく、可変デジタルズームにも対応します。さらに赤外用顕微カメラおよびラマン用対物レンズと位置情報を共有することで、狙った観察対象を逃しません。なお、赤外用顕微カメラでは最小30×40 µm、ラマン用100倍対物レンズでは最小7.5×10 µmの視野まで観察可能です。

2. 1つのソフトウェアで赤外とラマンの両測定および解析が可能

赤外とラマンの両測定は、制御ソフトウェア「AMsolution」上で切り替えられます。また、赤外スペクトルとラマンスペクトルを重ね合わせて表示、解析できます。

3. 1台の顕微鏡で有機/無機の情報を取得

赤外顕微鏡は有機物分析を得意としますが、一部の無機物情報の取得は困難です。一方で、ラマン顕微鏡では、有機物に加え酸化チタンやカーボンなどの無機物情報を得られます。本製品1台で、有機物だけでなく、無機物も解析できます。通常2台分必要となる設置スペースが1台分で済み、省スペース化が可能です。

4. 測長機能を備えた制御ソフトウェア「AMsolution」

制御ソフトウェア「AMsolution」を使うと、対象物の長さを計測できます。計測したい始点と終点をクリックするだけで、その長さを画面上に表示します。またボタン1つで計測した長さをレポートとして出力できます。マイクロプラスチックの粒子径計測にも便利な機能です。

価格 「AIRsight」単体:2,650万円~(税別)
「IRXross」+「AIRsight」システム:3,200万円~(税別)
目標販売台数 発売後1年間で国内外合わせて100台

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