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2025年4月15日 | プレスリリース 関西医科大学と光免疫療法の臨床研究を開始
近赤外光イメージングシステムによる腫瘍部分への治療前後の薬剤の集積の可視化確認

学校法人関西医科大学(大阪府枚方市 理事長・山下敏夫、学長・木梨達雄)と島津製作所は、光免疫療法の治療効果を可視化するための臨床研究を開始します。研究では、切除不能な局所進行または局所再発が見られる頭頸部がん患者を対象として、光免疫療法の術前・術中・術後の正確な診断、手技、評価の実現性の検証などを実施します。研究期間は本年4月1日から2027年9月30日までとなります。

光免疫療法は、がん細胞に特異的に結合する抗体と光感受性色素(IR700)を組み合わせた薬剤の投与後、がんに対してレーザー光を当てることで細胞死を引き起こす、がんの新しい治療法です。薬剤や光は体に害がなく、がん細胞だけを選択的に殺傷できるため、副作用の少ない治療法として注目されています。現在、日本では「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」に対する治療において条件付きで承認されています。島津製作所は2003年から米国国立衛生研究所の小林久隆主任研究員(関西医科大学附属光免疫医学研究所所長)と共同で同治療の効果測定に関する研究などに取り組んできました。

本研究は、光免疫療法の研究において重要なステップであり、特に腫瘍部分への薬剤集積の確認およびがん細胞の破壊の物理的証明に関しては、ヒトを対象とした世界初の取り組みとなります。今後も島津製作所は分析計測技術とイメージング技術により関西医科大学と協力し、光免疫療法の研究を進めていきます。

臨床研究の項目

1. 治療中の薬剤反応

当社製の近赤外光イメージングシステムを使用し、光免疫療法の光照射中の蛍光信号の変化を観察することで薬剤の反応状況を評価します。また、蛍光信号の変化と治療効果の関連性も評価します。

2. 治療前後の薬剤の集積

当社製の近赤外光イメージングシステムで、光免疫療法の光照射前後における薬剤の集積を観察します。光照射前に治療対象部位とその周辺に薬剤が適切に集積をしているかを評価します。また薬剤集積の照射前後の比較により薬剤反応部位を評価します。

3. がん細胞の破壊によるリガンド分析

尿や血液の分析を通じて、がん細胞が物理的に破壊されたことの証明を目指します。治療前後に採取された血液および尿に含まれるリガンド(薬剤を構成する水溶性物質)やその他の成分を分析計測機器で調べて、治療効果を確認する方法の確立を目指します。