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2025年1月31日 | お知らせ 厚みのあるサンプルの測定が可能な新しい量子赤外分光装置を実現
京大との共同研究の成果が国際学術誌「Physical Review Applied」に掲載

京都大学大学院工学研究科および島津製作所の研究グループは、表面が平滑でないサンプルをプリズムに押しつけることで測定が可能な、全反射法による量子赤外分光を実現しました。本手法は、様々な試料を簡便に測定でき、従来困難であった厚みのあるサンプルの測定も可能となるため、より幅広い用途で利用できる小型の量子赤外分光システムの実現が期待できます。特に屋外での環境モニタリングやセキュリティへの応用などが考えられます。本成果は、2025年1月28日に米国の国際学術誌「Physical Review Applied」にオンライン掲載されました。

全反射型量子赤外分光のイメージ

全反射型量子赤外分光のイメージ

論文情報

タイトル Quantum infrared attenuated total reflection spectroscopy
(全反射減衰量子フーリエ変換赤外分光)
著者 栗田寅太郎(京大)、向井佑(京大)、岡本亮(京大)、荒畑雅也(京大)、田嶌俊之(京大)、太田宏(島津製作所)、徳田勝彦(島津製作所)、竹内繁樹(京大)
掲載誌 Physical Review Applied 

 

  • ※全反射減衰法(Attenuated Total Reflection: ATR)とも呼ばれる、高屈折率のプリズムと試料を密着させ、プリズム-試料界面での全反射光を用いて試料光学特性を評価する方法。赤外光測定の場合、反射光は数µm~サブµmのわずかな距離だけ試料内部にしみ出すため、反射界面近傍の微小領域の光学特性を測定する。これにより、試料形状が変形しやすい、あるいは表面に凹凸がある様な場合でも、プリズムに密着させることで波面歪や散乱を抑制した測定ができる。

 

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