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2024年3月13日 | プレスリリース 高い抗酸化作用を持つ超硫黄分子の特性解明へ、
老化を防ぐ医薬品・食品の開発に貢献
「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」を設置

島津製作所(京都府京都市、代表取締役社長 山本靖則、以下 島津製作所)と国立大学法人東北大学(宮城県仙台市、総長 大野英男、以下 東北大学)は、2024年4月1日に「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」(以下、共創研究所※1)を設置します。両者は2024年4月から3年間にわたり本共創研究所で共同研究に取り組みます。生体の老化メカニズムに関連する超硫黄分子の特性を明らかにして、様々な疾患の診断や治療法の確立、健康を増進する機能性食品の開発への貢献を目指します。 

超硫黄分子とは、血液や臓器内に存在するアミノ酸などの有機化合物に硫黄が結合した物質の総称です。強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素の働きをコントロールすると考えられています。過剰な活性酸素は、疲労や老化、疾患の一因とされています。超硫黄分子の代謝メカニズムを解明することで、新たな診断・予防・治療法の確立や機能性食品の開発への応用が期待されています。東北大学大学院 医学系研究科 環境医学分野 赤池孝章教授は2017年に世界で初めて生体が超硫黄分子を介してエネルギー代謝を行っていることを発見した超硫黄分子研究の第一人者です。島津製作所は赤池研究室と2020年より共同研究を行っており、2021年には当社製液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)を用いて生体内の超硫黄分子を測定するソフトウエア「LC/MS/MSメソッドパッケージ 硫黄代謝プロファイリング」を開発しました。 

このたび設立する超硫黄生命科学共創研究所では、より多くの種類の超硫黄分子を一斉に分析する手法の開発、当社製イメージング質量顕微鏡※2「iMScope」を用いた超硫黄分子の臓器内分布の観察などに取り組みます。本共創研究所の設置期間および共同研究の契約期間は2024年4月から3年間を予定します。島津製作所と東北大学は超硫黄分子の解析技術の発展を通じ、健康長寿社会の実現に貢献してまいります。

「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」にて取り組む研究内容の概要

「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」にて取り組む研究内容の概要

共創研究所概要

  1. 名称
    「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」
  2. 活動内容
    東北大学が提唱した新学術研究分野である超硫黄生命科学をベースにした超硫黄分析技術の構築、その他の分析技術に関係する研究テーマの探索・企画立案
    ① 超硫黄分析に関する技術開発研究の加速化の推進
    ② 新たな診断・治療法の確立や健康増進の為の食品等の開発に関する研究テーマの探索・企画立案
  3. 運営体制
    (1)   運営総括責任者
    東北大学大学院 医学系研究科 山口 亮 特任教授 (島津製作所 分析計測事業部 Solutions COE インスツルメンツエキスパートグループ)
    (2)   運営支援責任者
    東北大学大学院 医学系研究科 赤池 孝章 教授
    (3)   参画教員
    東北大学大学院 医学系研究科 本橋 ほづみ 教授
    東北大学大学院 医学系研究科 鄭 珉境 学術研究員
    東北大学大学院 医学系研究科 吉武 淳 学術研究員
  4. 設置場所
    医学系研究科 医学系総合研究棟
  5. 設置期間
    2024年4月1日~2027年3月31日

用語説明

※1 学内に企業との連携拠点を設けるとともに、大学の教員・知見・設備等に 対する部局横断的なアクセスを可能とすることで、共同研究の企画・推進、人 材育成、および大学発ベンチャーとの連携をはじめとする多様な連携活動を促進する制度。 
東北大学 産学連携機構 WEB サイト(共創研究所) 

※2 質量顕微プローブと光学顕微鏡を併せ持つ質量分析計。顕微鏡による画像情報と質量分析計による成分分布情報を画像として可視化する。従来の分析装置では得られなかった、空間的な情報と化学的な情報を同時に得ることが可能。

 

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