1988年、世界で初めて生体高分子が測定できるようになった質量分析装置が誕生しました。「LAMS-50K」です。田中耕一所長が開発から関わった初めての製品です。この時に現在の質量分析装置の基礎ができあがったのです。ここでは、LAMS-50Kの「イオン引き出し部と試料台」をご紹介します。このイオン引き出し部と試料台は、形状の変更や改良を加えて、現在の当社質量分析装置でも使用されています。
写真の部品はLAMS-50Kに使われたものと同じものです。当時の図面を用い再現しました。
レーザー光を入射し45度ミラーで右側に反射させた後、試料台上の試料(例:タンパク質)とマトリックスを混ぜたものに照射します。試料はイオンとなって電気の力で引き出されます。その後、45度ミラーの中央に空いている小さい穴の中を通って、部品の左側にあるイオンを重さで分けるところ(質量分離部)へ飛んで行きます。
この部品の形状、材質がここに至るまでには、物理、化学、生物、材料工学、電気工学、機械工学などのいろいろな知識・技術が必要です。これは大きな装置の中のほんの一部の部品ですが、開発にはいろいろな分野の技術者が関わっています。
LAMS-50Kは2024年5月、「IEEE Milestone」に認定されました。質量分析計「LAMS-50K」が「IEEE Milestone」に認定
イオン引き出し部と試料台は島津創業記念資料館(京都市)で常設展示しています。