木質バイオマス発電で、環境にも人にも安心な野菜を栽培

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株式会社サラ(岡山県笠岡市)
https://www.sarafarm.jp/

近年、世界中で多発している「異常気象」。みなさんの周りでも、集中豪雨、強い台風などといった、異常気象による災害が起こっているのではないでしょうか。 気候変動問題における対応が急務とされる中、森林整備や廃棄物対策へも寄与する「木質バイオマス」の利用に改めて注目が集まっています。

岡山県瀬戸内側に位置する株式会社サラ(岡山県笠岡市)は、園芸テクノロジーと再生可能エネルギーを活用して、安全で安心して食べられる美味しい野菜を安定的に供給することを目的とし、“未来の野菜カンパニー”を目指して2016年に設立された会社です。約18ヘクタールの敷地面積の中に、バイオマス発電プラントと国内最大規模となる13ヘクタールの半閉鎖型グリーンハウスを建設し、最先端・最大規模のスマート農業を運営されています。2019年4月1日に稼働を開始した発電プラントでは、主に岡山県で生産された「木質チップ」を燃料として発電した電力を野菜栽培に活用するだけでなく、副産物である蒸気を栽培に必要な暖房や除湿冷房用の熱源として利用しています。また燃焼ガスから生成した二酸化炭素も野菜栽培で活用するなど、循環型のサステナブルな施設運営を行うとともに、生み出す電力は、「中国電力」を通じて地域のエネルギーとして有効に活用されています。

木質バイオマス発電において重要なのは木質チップの「含水率」です。発熱量や着火性、燃焼性に大きく関係するため、持ち込まれた時点で測定し、燃焼効率に合わせて単位当たりの買い取り額を決める発電所もあります。この含水率測定法については、木質チップを恒温槽の中で一定時間乾燥させ、乾燥前後の重量差より含水率を求め、さらにその結果をノートに転記するなど多くの手作業が必要となり、ヒューマンエラーなどのリスクもありました。

これに比べて、当社の電子水分計MOC63uを用いた場合は、これまで10時間以上かかることもあった煩雑な測定作業がわずか数十分で可能となります。またデータもパソコンに直接転送できるため、転記時間も省略でき、スピーディーに正確なデータ取得が可能となります。

JIS法との比較

  JIS 乾燥減量 水分計 MOC63u
測定時間 約12時間 約10分
放冷工程 必要 不要
含水率の計算 手計算 自動

株式会社サラでは、購入しているバイオマス原料のうち木質チップと枝葉は、納品時にサンプリングし、当社の水分計を使って含水率を計測されています。今回お話を伺った施設部の岩村靖雄さんは、「4月から稼働を始めたばかりの発電所ということもあり、現在は入荷時の含水率を毎回計測しデータを蓄積しているところです。毎日燃料となる木質チップなど20種類程度の入荷分を6台の水分計を活用して随時計測していますが、今後の品質保持に活かしていきたいですね。」と、今後の展望を語っていただきました。

(2019年10月3日取材)

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