安全で豊かな循環型社会へ

廃棄物・有害物質

私たちは、廃棄物・リサイクルの分野でも貢献しています。廃プラスチック材をリサイクルするためには、正確な素材選別が重要です。また産業廃棄物としての汚泥や土砂を適切に管理するためには成分分析が欠かせません。海洋マイクロプラスチックも大きな環境問題となっています。島津は、関連する分析計測機器を開発・提供することで、循環型社会の構築に貢献しています。

都市ごみ、下水汚泥の焼却灰の分析

焼却された都市ごみは通常特別管理一般廃棄物として埋め立てられ、下水汚泥焼却灰が埋め立て廃棄される場合は産業廃棄物として取り扱われますが、いずれも環境保護の観点から有害重金属の含有量を調べる必要があります。ICP発光分光分析装置を使うと、Pb、Cdなどの金属を微量から高濃度まで正確に定量することができ、蛍光X線分析装置(EDX)を用いると、焼却灰の主成分であるCa、Si、Alなどの成分管理やPbなどの有害重金属を簡単に検出/定量することができます。

ICP発光分光分析装置 ICPE-9800シリーズ
エネルギー分散型蛍光X線分析装置 EDX-7000
焼却灰のTi-U定性分析

「塗膜くず」中の低濃度PCB分析

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は塗料の一部にも可塑剤として使用されています。橋梁等の建造物塗装にも使用されており、その修繕等で発生する塗膜くずはPCB廃棄物として処理されます。
この塗膜くずのPCB含有量の分析法としてはGC-MS法が指定されています。特に低塩素数のPCBの場合、GC-MSによる測定では夾雑成分の影響を受けやすく、GC-MS/MS(MRM)による測定であればこの影響が回避でき、高感度かつ高分離で分析することができます。

ガスクロマトグラフ質量分析計 GCMS-TQ8050 NX
Tetra CB(#60、50)の定性定量分析

海洋ごみ、マイクロプラスチックの分析

大きさ数μm~5mm程度の微細なプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、近年このマイクロプラスチックが海洋や生態系に及ぼす影響が懸念されています。また、マイクロプラスチックの素材だけでなく、それに含まれる添加剤や周囲の環境により吸着する有害物質は、食物連鎖により人間にも潜在的に影響を及ぼす可能性が指摘されており、多角的な分析・計測技術が必要とされています。

フーリエ変換赤外分光光度計 IRSpirit
リサイクル工場で入手した漁網とそのFTIR測定結果(ポリアミドと同定)
フーリエ変換赤外分光光度計 IRTracer-100(左)
赤外顕微鏡 AIM-9000(右)
ろ紙上のマイクロプラスチック(左)とポリエチレンの分布(右)
ダイナミック粒子画像解析システム iSpect DIA-10
環境水に含まれていた粒子画像