気候変動対応に向けて

再生可能エネルギー/エコ素材

私たちは、これからの人や社会に欠かせない再生可能エネルギーや新しいエコ素材研究の分野でも貢献しています。経済発展がグローバル規模で進む中、エネルギー需要も増加し続けており、持続可能な社会を実現する再生可能エネルギー関連技術への期待がますます高まっています。バイオ燃料やバイオマス発電、水素発電などの研究開発に、また環境負荷が少ない自然由来の新しいエコ素材の開発などに、島津の分析計測機器が貢献しています。

水素燃料の品質管理

燃料電池に使われる水素には厳しい純度規格が定められています(ISO14687-2)。水素に一酸化炭素や硫黄成分などが含まれていると、燃料電池の触媒が壊れてしまうためです。FCV用水素燃料規格(ISO14687-2)には多くの管理項目が定められていますが、それらの分析に島津の分析機器が役立っています。統合ワークステーションLabSolutionsLC/GCを用いることにより、1台のワークステーションで複数の分析装置の統合制御・データ解析が可能となります。

藻類バイオ燃料の品質管理

藻類バイオマスは、石油資源に代わる新たな再生可能エネルギーとして注目されています。またCO2の再利用法の一つとして、排出されたCO2を藻類の培養に役立て、効率的な燃料生産を行う研究も進められています。全有機体炭素計(TOC)は、藻類を含んだ培養液中の炭素量を計測することでバイオマス量の評価ができ、高い定量性を示す手法として利用されています。またUV微細藻類分析システムを用いると、迅速で簡単に細胞量を測定・評価を行うことができます。藻類から産出されるスクアレン(C30H50)オイルは重油相当の炭化水素であることから、触媒を用いた改質が必要となります。その触媒反応時に生じる分解物の測定にはGC-MSが有効となります。

全有機体炭素計
TOC-Lシリーズ
ガスクロマトグラフ質量分析計
GCMS-QP2020 NX
紫外可視分光光度計
UV-2600i

木質バイオマス発電:燃料の含水率測定

木質バイオマス発電では、燃料となる木質チップの「含水率測定」が発熱量や着火性、燃焼性に大きく関係することから大変重要となり、納入された時点で厳密に測定する必要があります。この含水率測定法については、木質チップを恒温槽の中で一定時間乾燥させ、乾燥前後の重量差より含水率を求めたうえ、手作業で記録するなど、ヒューマンエラーのリスクがあります。
当社の電子水分計MOC63uは、数時間以上かかる煩雑な測定作業をわずか数十分で完了することが可能となります。またデータもパソコンに直接転送できるため、転記時間も省略でき、スピーディーに正確なデータ取得が可能となり、効率的な作業環境の構築に貢献します。

木質チップの含水率測定グラフと電子水分計 MOC63u

人工光合成研究に役立つ光学基礎技術

人工光合成とは、光触媒と太陽光を用いて光合成を人為的に行う技術で、光エネルギーを有用な化合物へ変換することができることから次世代の再生可能エネルギーとして期待されています。
光反応評価装置Lightway(製品名:PQY-01)は、量子収率を評価する上で必要となる吸収フォトン数計測を従来の化学光量計を用いず、短時間で、正確かつ簡便に行えるユニークな装置です。

本装置は東京工業大学理学院化学系教授石谷治先生と助教玉置悠祐先生の監修により、当社が開発しました。

専用解析ソフトウェア PQY™-Measによる測定画面
光反応評価装置 PQY-01 Lightway

エコ素材:セルロースナノファイバーの物性解析

セルロースナノファイバー(CNF)は、植物由来のカーボンニュートラルであり、持続可能で環境親和性の高い素材として注目されています。
CNFでは、繊維長、繊維幅、分散性などの評価が求められ、走査型プローブ顕微鏡(SPM)のナノ3Dマッピング機能を用いれば、CNF複合素材の三次元形状画像に弾性率像を重ね合わせることで、複合材料の分散状態を可視化することができます。

走査型プローブ顕微鏡SPM-9700HT(左)と、CNF複合材料の弾性率3Dマッピング及び測定結果(右)