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(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。

代表取締役 社長 上田 輝久

耳を澄まし、技術を磨く。

上田 輝久01

お客様の声に真摯に耳を傾けよう。
就任にあたって、私は島津グループの全社員に向かってそう呼びかけました。
これまでも私たちは、お客様が携わる分野の発展に貢献するため、真摯に耳を傾け、そこにどのような困難があっても不断の努力で乗り越え、製品やサービスを形にしてお届けすることを信条としてきました。長きにわたり「技術の島津」と評価をいただくに至ったのも、お客様の声にお応えする機会を数多くいただいてきたと同時に、そこでチャレンジを積み重ねてきた結果にほかなりません。
製品やサービスに何を求められるかは、お客様によって千差万別です。単に新機能が盛り込まれていれば良いというものでも、性能さえ優れていれば良いというものでもありません。お客様によっては、耐久性の高さを何より大切にされることもあれば、使いやすいアプリケーションの登場を心待ちにされているお客様など、それぞれのお声があります。その声は、会社の机や会議室にいたのでは決して聞こえてきません。お客様が研究開発されている現場、医療を提供されている現場、製品を製造されている現場に何度も何度も足を運び、私たちの製品に対するご意見や、さらなるご要望をお聞かせいただく。そして、営業も開発も一体となって答えを導きだし、お客様の事業、研究に一層お役に立てる存在となり、信頼いただける存在となることを目指しています。
もちろん、これは日本国内に限りません。真のグローバル企業を目指した各種取組の積み重ねにより、私たち島津グループは世界に数多くの拠点を持つに至りました。しかし、世界は多様性に富んでおり、国内とは比較にならないほど多彩なニーズがあります。それぞれの国に貢献し、存在感を発揮するにはまだまだ努力が必要です。より高度化、スピード化する社会のなかで、確実にニーズにお応えしていくためにはどうすれば良いか。模索するなかで、その答えの一つとして進めているのがイノベーションセンターの設置です。世界各国に開発担当者を置き、ご要望に素早くお応えできる体制構築を目指しています。
お客様の声に対する感度を高める一方で、中長期的な視野に立った研究開発にも力を注いでいきます。新規事業の研究開発には、これまで以上にリソースを割き、最先端の研究をされている大学、研究機関と連携を強化。そこで私たちの技術を提供すると同時に、最新の知見を吸収し、技術力の向上をスピードアップしていきます。現在のところ、共同研究の多くは日本国内ですが、アメリカをはじめとする海外からのオファーも増えています。この流れを一層加速し、グローバルな舞台で知見を深めていきたいと考えています。
科学技術で社会に貢献する。
私たち島津グループが事業の根幹として受け継いできたこの社是は、140年たった今もまったく色あせていません。むしろ、複雑化、多様化する社会の問題を解決するうえで、科学技術の重要性はますます高まっています。
社会をより便利で、安全・安心なものにしようとするお客様の事業や取り組みを、私たちの技術が支える。あるいは、私たち自身が持ち得た知見を駆使して、業界をリードし、積極的に社会に働きかけていく。そうした活動を積み重ねることで、私たちの存在感を高め、お客様の事業に、さらには社会に一層貢献していく。私たちはこれからも、さらなる挑戦を続けます。

上田 輝久

株式会社島津製作所 第十二代 代表取締役 社長

上田輝久(うえだ てるひさ)