子どもたちの命を守るために
医薬品の安全性向上に貢献するプロジェクト「Safe Childhood」

咳やのどの痛みを和らげる咳止めシロップ。近年、有害物質が混入した薬によって子どもたちが命を落とす事例が世界各地で報告されています。シンガポールに拠点を置くShimadzu (Asia Pacific) Pte Ltd.(以下、SAP)のインド営業チームは、分析技術を活用したプロジェクト「Safe Childhood」に取り組んでいます。

医薬品の安全性向上に貢献するプロジェクト「Safe Childhood」

 

有害物質が混入した医薬品

咳止めシロップは甘味料が配合され、飲みやすく、子どもの治療にも役立ちます。しかし、WHO(世界保健機関)によると2022年以降、有害物質が混入したシロップによる子どもの死亡事例が世界で発生しており、2022年から2023年に少なくとも300人以上の命が失われたとされています。

ここで問題となったのは、エチレングリコール(EG)やジエチレングリコール(DEG)と呼ばれる有害物質です。これらは塗料や接着剤などの製造や、自動車の冷却液(不凍液)などに使用される化学物質で、人体には毒性があります。医薬品の原材料に混入した場合、少量でも健康被害をもたらすおそれがあります。

この状況を知ったSAPインド営業チームのCheh Wei Keongは、強いショックを受けながらも、どうすれば防げるかと考えました。「治療のための薬が、子どもたちの命を奪う原因となっていることに胸が痛みました。同時に、より厳格な品質管理体制や信頼性の高い分析試験によって防げる可能性があるとも考えました」。そこでChehは、有害物質から子どもたちの命を守るプロジェクト「Safe Childhood」を立ち上げました。

「Safe Childhood」に取り組むSAPインド営業チームのメンバー。左から2番目がCheh

「Safe Childhood」に取り組むSAPインド営業チームのメンバー。左から2番目がCheh

分析技術で安全性向上に貢献

「Safe Childhood」でSAPインド営業チームは、医薬品の品質管理を強化するため、インドの製薬業界における、有害物質の検出に活用できるガスクロマトグラフの普及に取り組みました。ガスクロマトグラフは、EGやDEGなどの有害物質を高感度かつ高精度に検出・定量することができます。製造前の原材料検査や、最終製品である咳止めシロップの品質確認において、安全性の確保に貢献します。SAPのWebサイトでは、ガスクロマトグラフ「Nexis GC-2050」を用いたEG・DEGの分析手法(アプリケーション)が紹介されています(英語のみ)。

ガスクロマトグラフ「Nexis GC-2050」紹介動画 

チームはインドの販売代理店と連携しながら、これまで接点の無かったお客様にも、セミナーやアプリケーションのデモンストレーションを実施しました。そのなかでEGやDEGによる汚染リスクや、その検査法を日常的な分析作業に取り入れる方法を紹介し、インドの80社を超える製薬会社に対し、当社のガスクロマトグラフを用いたEG・DEG分析ソリューションを導入いただくことにつながりました。こうした活動が評価され、「Safe Childhood」は島津グループ内で夢や想いを持って主体的に挑戦する社員を称える社内表彰「First a Dream賞」を受賞しました。

 

SAP Chehのコメント

「Safe Childhood」で私たちはお客様に対し、このプロジェクトの目的が規制への対応だけでなく、企業の社会的責任(CSR)の一環であることをお伝えしてきました。品質管理体制の強化には企業での追加のリソースが必要ですが、製薬業界のお客様のご理解と共感のもと、多くのお客様にEG・DEG分析ソリューションを導入いただくことができました。

「First a Dream Award」の受賞を知ったとき、大変光栄であり、感謝の気持ちでいっぱいでした。今回の受賞は、プロジェクト自体が評価されたというよりも、科学技術と品質保証で子どもたちの命を守ることの意義が認められたと考えています。私たちチームだけでなく、「患者の安全」に同じ思いを持つ販売代理店、技術スペシャリスト、そして、お客様があってこその成果です。

最終的には、防げる汚染事故で誰一人として命を失わないことが私たちのビジョンです。次世代のために、「Safe Childhood」を通して、製薬業界における品質と安全性の向上に貢献していきたいと考えています。

 

URLをコピーするタイトルとURLをコピーしました
他の記事も見てみる