研究者同士の対話から、ともに未来の可能性を探る
米国でStrategic R&D Partner Seminarを開催

近年、研究開発の現場では、一つの企業や研究室だけでは解決しきれない課題が増えています。開発の効率化、実験の自動化の推進、そして新しい分析技術の社会実装。これらは今や、多くの研究者に共通する関心事です。
こうした課題に応えるため、米国における計測事業を統括するShimadzu Scientific Instruments, Inc.(メリーランド州コロンビア、以下SSI)とBonneVille Labs(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)は、「Strategic R&D Partner Seminar」を開催しました。

セミナーの様子

セミナーの様子

 

技術を見せる場から、ともに未来をつくる場へ

2026年4月末に開催された本セミナーでは、一般的な製品紹介セミナーと異なり、島津のコア技術や米国未発売の技術を中心に議論を行い、研究者や企業、大学関係者との対話を通じて未来の共同開発の種を見いだすことに重点が置かれました。

来場者に挨拶をするSSI社長Patrick Fromal

来場者に挨拶をするSSI社長Patrick Fromal

当日は、研究現場の課題解決に直結するテーマの講演が行われたほか、ネットワーキングやポスターセッションを通じて参加者同士が活発に意見を交わし、「自分たちの現場では何が課題なのか」「どこに技術導入や共同研究の可能性があるのか」といった問いについて考える機会が提供されました。

こうした対話を通じて、新たな連携や共同研究につながるきっかけが生まれるよう工夫がなされ、単なる技術紹介の場を超えた、未来のイノベーション創出に向けた交流の場となりました。

当社分析計測事業部 ダイアグノスティクス統括部 細胞BU 細胞解析Gの黒田博隆も講演

当社分析計測事業部 ダイアグノスティクス統括部 細胞BU 細胞解析Gの黒田博隆も講演
 

当日、運営にあたった当社社員

当日、運営にあたった当社社員

次世代の研究開発を支える技術をテーマに

当日は、研究開発の最前線で活躍する専門家による4つの講演も行われました。テーマは、AIと自動化技術を活用した製剤開発の最適化やラボオートメーション、新たな検出技術など、次世代の研究開発を支える技術や取り組みです。

また、島津製作所の液体クロマトグラフや研究データ管理ソフトウェア「LabSolutions Sync」を活用した事例も取り上げられ、分析機器とデジタル技術の融合が研究開発のスピードと精度の向上につながる可能性が示されました。なかでもラボオートメーションは多くの参加者の関心を集め、研究現場における重要な課題の一つとして活発な議論が交わされました。

講演テーマと登壇者

テーマ 登壇者
製薬フォーミュレーション(製剤)開発の自動化
Automated Platform for Pharmaceutical Formulation Development

Kenan Pandza, VP of R&D
(Persist AI)

Kenan Pandza, VP of R&D(Persist AI)
当社のラボオートメーション戦略
One Vision, Two Strategies: Integrated & Open-Platform Lab Automation

Andy Sasaki, General Manager, R&D Center (MD)
(Shimadzu Scientific Instruments)

Andy Sasaki, General Manager, R&D Center (MD)(Shimadzu Scientific Instruments)
超高速蛍光検出技術
Find the Needle in the Haystack with FAST Fluorescence Imaging

Joerg Martini, Assoc. Director
(SRI International)

Joerg Martini, Assoc. Director(SRI International)
AIによる細胞培地最適化
AI-Driven Culture Media Optimization for Biopharmaceuticals

Hirotaka Kuroda, Senior Researcher
(Shimadzu Corporation)

Hirotaka Kuroda, Senior Researcher(Shimadzu Corporation)

こうした講演は「単独の企業だけで革新的な技術を生み出す時代から、多様な技術や知識を持ったパートナーとの協業によって新たな価値を創出する時代へ」という考え方が根底にあります。実際に当社の製品開発においては、顧客や研究機関との連携によって新たな製品が生み出された事例があります。2019年に発売した超臨界流体クロマトグラフシステム「Nexera UC Prep」は、創薬研究の現場から寄せられたニーズをもとに、製薬企業や研究機関との連携を通じて開発が進められました。

このシステムは創薬研究におけるリード候補化合物の精製に超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いることで、新薬研究の効率化に貢献します。また、溶媒使用量を大幅に削減して環境負荷を軽減できるという特徴もあります。当時不十分であったラボスケールの分取SFCシステムの具体的な要求を開発初期段階から顧客と共有し、製品を磨き上げることで、開発リスクの低減や市場投入の迅速化につながるだけでなく、実際の研究現場で求められる機能の実装を可能にしています。

SSIは今回のセミナーを、一度限りのイベントではなく、研究開発に関する知見を集め、将来の共創や製品開発へつなげるための長期的な取り組みの第一歩と位置付けています。研究者同士の対話から生まれる新たな発想やつながりが、次世代の分析技術やライフサイエンス分野のイノベーションへと発展していくことが期待されています。

共創の種を育む新たな拠点

2026年3月、SSIは新たな研究開発の拠点として、北米西海岸に「サウスサンフランシスコラボ」を開設しました。周辺にはグローバル製薬企業やバイオテクノロジー関連のスタートアップが数多く点在しており、先進的な技術や製品への関心が非常に高い地域です。

ラボの様子
ラボの様子

ラボの様子

SSIはこれまでも、米国メリーランド州の本社内にイノベーションセンターを設け、ヘルスケアや食品、環境分野における社会課題の解決に取り組んできました。また、2024年に開設したR&Dセンターでは、試作品や新製品を活用しながら顧客との共同研究を推進しています。
今回の米国西海岸ライフサイエンスエコシステムの本拠地であるサウスサンフランシスコ市での新拠点開設により、顧客ニーズの把握と分析計測機器の開発力をさらに強化し、これまで注力してきた製薬、臨床、エネルギー分野を中心に、共同研究や新たな技術開発を一層加速していくことを目指しています。

本セミナー担当者のコメント

SSI 渡邊京子
(General Manager, Product Strategy, R&D)


今回のイベントは、当社製品の販促ではなく、顧客が直面する課題を深く理解し、その解決策を共に生み出すことを目的に企画しました。SSI R&Dセンターのミッションである「Customer-oriented development(顧客志向の開発)」を体現すべく、講演テーマにはAIによる開発の自動化やラボオートメーション、新たな検出技術など、多くの研究現場が共通して抱える課題を意図的に選び、製品化前の技術や応用事例を中心に紹介しました。開催後には、参加者から個別の技術相談や共同研究の打診を複数いただいており、手応えを実感しています。今後も同様の取り組みを継続し、R&Dセンター発の新製品開発に一層邁進してまいります。

研究開発の最前線では、技術そのものの進歩だけでなく、「誰とつながり、どのような価値をともにつくるか」がますます重要になっています。本セミナーは、そのような時代における共創の可能性を示す場となりました。こうした対話から生まれる新たな発想や連携は、一つの技術を次のイノベーションへと発展させ、やがて新しい製品や市場の創出につながります。

SSIと島津製作所はこれからも、研究と産業をつなぎ、人と技術の出会いを支えながら、未来の価値創造に貢献してまいります。

 

URLをコピーするタイトルとURLをコピーしました
他の記事も見てみる