光格子時計が「日経優秀製品・サービス賞」の最優秀賞を受賞
島津製作所が製品化したストロンチウム光格子時計「Aetherclock(イーサクロック) OC020」が、2025年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞(生産財部門)を受賞しました。

左から基盤技術研究所先端分析ユニット長 東條公資、基盤技術研究所所長 河野俊幸、産業機械事業部ジオサイエンス部 部長 西村直喜(2025年2月2日東京都内)
日本経済新聞社による優れた新製品や新サービスの表彰制度
「日経優秀製品・サービス賞」は、優れた新製品・新サービスを表彰するもので、日本経済新聞社が候補を独自に選定し、本審査委員会で受賞製品・サービスを決定します。審査では「技術開発性」「価格対効果性」「業績寄与度」「成長性」「独自性」「産業・社会へのインパクト」を総合的に評価しています。当社は2002年に質量分析装置「AXIMA-QIT」が最優秀賞、2021年に遺伝子解析装置「AutoAmp」が日経産業新聞賞を受賞しています。
2025年日経優秀製品・サービス賞の審査委員長を務める小宮山宏さん(三菱総合研究所理事長)は受賞理由について「光格子時計が社会実装されれば地上の高さを1cmの誤差で測定できるようになるため、マグマ活動などによる地表の隆起を検知できるなど様々な応用が期待されている」と述べました。
「100億年に1秒」の精度を守りながら小型化し、
世界初の商用機の発売へ

光格子時計「Aetherclock OC020」は、現在の「秒」の定義の基準となっているセシウム原子時計に対して100倍以上の精度である18桁精度、つまり100億年に1秒の誤差を実現します。本技術は東京大学の香取秀俊教授が開発したもので「ノーベル賞級」と評されています。当社はこの技術を製品化すべく、2017年から共同研究を開始しました。
香取教授のグループが「光格子時計」を完成させた当時は1台で実験室を占拠するほどの大きさで、実用化のためには小型化が欠かせませんでした。まずは東京スカイツリーと地上に光格子時計を設置して一般相対性理論*を検証することを目的に、2020年に約1/20のサイズである容積920ℓまで小型化しました。その後、光格子時計の設計を一から見直し、複数のモジュールに分けて開発することで開発スピードを上げながら、制御系を構成する100以上の基板を5分の1に集積することで、 2024年には約1/4サイズの250ℓまで小さくすることにすることに成功。2025年3月、ついに世界初の商用機として発売しました。
現在は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)から初号機を受注しています。
*アインシュタインが提唱した理論。地球の中心から離れれば離れるほど時間が速く流れるという「重力による時間のずれ」を提唱した。これまでは宇宙規模で考えられていたが、光格子時計を使えば東京スカイツリーと地上という日常的な高低差でも時間のずれを測定することができた。実証実験は東京大学、理化学研究所、国土地理院、大阪工業大学および島津製作所のグループによって実施した。
製品化をリードした基盤技術研究所先端分析ユニット長の東條公資は、「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の支援を得て研究開発を進めてきました。今回の受賞はチームとご支援いただいた方々全員の努力が認められたものであり大変うれしく思っております。受賞に際し、香取先生をはじめJSTの大石運営統括からも祝辞を頂戴し、大変光栄であると同時に責任の重さも痛感しています。今後は更に多くのお客様にご利用いただけるよう、高精度化、小型化、高信頼性化を進めていきたいと考えています」と意気込みを語ります。

光格子時計「Aetherclock OC020」とプロジェクトメンバー。後列左から、二五和樹、古宮哲夫、東條公資、松花文太。前列左から酒井裕也、村松尚(いずれも島津製作所 基盤技術研究所)
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