2025.12.24

島津製作所創業150周年
記念ロゴマーク制作者の想い

2025年3月31日、1875年に京都で創業した島津製作所は150周年を迎えました。これを記念して制定されたロゴマークは、2025年1月の発表以来、世界各地で用いられてきました。ロゴマークをデザインした島津グループの従業員に、マークに込めた想いと、この一年の振り返りを聞きました。

150周年記念ロゴマーク

 

“島津のDNA”を表す記念ロゴマーク

創業150周年記念ロゴマークの制定にあたり、国内外の島津グループの従業員からデザイン案を募集しました。気球をモチーフにしたデザインは、社内の委員会と社外のデザインの専門家による審査を経て決定されました。気球は、島津製作所の創業者である初代島津源蔵が1877年12月6日に日本で民間初となる有人軽気球の飛揚に成功したことに由来しています。たゆまぬ努力と挑戦を続ける“島津のDNA”を表現し、今後も新たなチャレンジを続けていくというメッセージを込めています。


1877年の有人軽気球飛揚の様子を記録した、画家・久保田米僊による版画「軽気球試検之図」

1877年の有人軽気球飛揚の様子を記録した、画家・久保田米僊による版画「軽気球試検之図」

迷いを断ち切って挑戦!

記念ロゴマークをデザインしたのは、中国エリアを統括する島津企業管理(中国)有限公司(SSL)のデザイン室に所属する徐雯(Xu Wen)です。SSLは2015年に島津グループの海外拠点として初めてデザイン部門を設置し、現在はデザイン室に5名が所属しています。同社によるインタラクティブアトラクション「医用分析融合体験区展示」オリジナルフォント「Shimadzu Genso Sans」は、それぞれ2022年と2025年に国際的なデザイン賞を受賞しました。 

SSLの徐。中国の展示会で「Shimadzu Genso Sans」を紹介する様子 

SSLの徐。中国の展示会で「Shimadzu Genso Sans」を紹介する様子 

現在、デザイン室でデザイナーとしてブランディングに関わる業務を担当する徐は、入社前からデザイン経験があったわけではありません。2018年の入社当初は主に中国語と日本語の通訳・翻訳や事務を担当していました。業務において社内外のデザイナーと関わるなかで、ある日、上司から社内向けのイベント告知のチラシ作成を任されます。この一連の出来事が、徐がデザインに興味を持ち、デザイナーに転向するきっかけとなりました。

配色や配置、フォントなど、要素の組み合わせで制作物の印象が大きく変わることに驚き、その奥深さに夢中になりました。デザインの専門用語やソフトウエアの操作方法は本やインターネットで調べ、独学で基礎知識を深めていきます。

その後、「創業150周年記念ロゴマーク」の社内公募が告知されました。しかし、徐はすぐに応募しようとは思わなかったと言います。「私は専門のデザイナーではありませんし、社内には経験豊富なデザイナーがたくさんいるので、自分が応募してよいのか迷いがあったからです」。そんな彼女の背中を押したのは、上司の「試しにやってみてもいいのでは」という一言でした。挑戦を決めた後は、すぐにコンセプトの検討に取り掛かりました。

記念ロゴマークをあしらったスマートフォンスタンド(SSL制作) 
記念ロゴマークをあしらったマウスパッド(SSL制作) 

記念ロゴマークをあしらったスマートフォンスタンドとマウスパッド(SSL制作) 

「どうすれば150年という歴史の重みを数字の”150”に自然に込められるか、そして、既存の島津のブランドイメージを損なわないということを特に意識しました。デザイン室で得た知識や経験をもとに試作を重ね、社内のメンバーから助言をもらいつつ、整えていきました」(徐)SSLではこの公募に向けて、応募者が案を持ち寄る場を設けており、これによって考えを整理し、落ち着いて制作に取り組めたと言います。自身の作品が選ばれた時のことは、「自分のなかで思い描いていたものが形となって、誰かの心に届いたんだと嬉しくなりました」と振り返ります。こうして制定された記念ロゴマークはさまざまなかたちで用いられ、当社の創業150周年において、島津グループと皆様をつなぐものとなりました。 

展示ブース(日本)

展示ブース(日本)

展示ブース(中国) 

展示ブース(中国) 

お客様からのお祝いメッセージの募集案内(韓国)

お客様からのお祝いメッセージの募集案内(韓国)

気球飛揚(トルコ)

気球飛揚(トルコ)

社員でお揃いのスウェットシャツ(イギリス)

社員でお揃いのスウェットシャツ(イギリス)

記念パーティーフォトスポット(ドイツ)

記念パーティーフォトスポット(ドイツ)

ロゴマークをデザインした徐のコメント


徐は、夢や想いを持って主体的に挑戦する社員を称える社内表彰「First a Dream賞」を受賞した

徐は、夢や想いを持って主体的に挑戦する社員を称える社内表彰「First a Dream賞」を受賞した

島津製作所の150周年にあたる2025年は、私にとって印象深い一年になりました。自分が携わったロゴマークが世界各地で使われているのを見たときは、「本当に使われているんだ」と少し驚きつつも、やっぱり嬉しかったです。島津の大きな節目の年にこのようなかたちで関われたことを、ありがたく感じています。

今回のロゴマークの応募がそうであったように、今後も、日々の業務のなかで「やってみたい」と感じたことには、前向きにチャレンジしていきたいです。デザイン業務については、基本的なスキルを着実に伸ばしていき、必要とされる場面で確実に活かせるようになることが目標です。これからもひとつひとつ経験を積み重ねて、自分ができることの幅を少しずつ広げていければと考えています。

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