中国科学院大学と
環境・健康イノベーションセンターを共同設立
中国グループ会社の島津企業管理(中国)有限公司(以下SSL)は、中国科学院大学 杭州高等研究院 環境学院内に「環境・健康イノベーションセンター」を設立し、4月25日に開所式を実施しました。SSLは中国の環境分野の研究者との連携を強化し、当該分野への深耕を図ります。
「環境・健康イノベーションセンター」開所式のダイジェスト動画
環境分析の中心地に置く新拠点
中国科学院大学とSSLの代表者による除幕の様子
中国科学院大学(以下、国科大)杭州高等研究院は、中国における環境問題への関心の高まりを受け、2019年に設立されました。同院は「科学技術革新の推進と産官学連携の深い融合」を掲げ、特に環境保護や健康課題への対応を重要課題としていました。その傘下に2020年、環境に特化した教育・研究機関として「環境学院」が置かれます。環境研究分野の先進機関である中国科学院 生態環境研究センターの研究資源と専門知識を基盤として設立されました。
今回、環境・健康イノベーションセンターを開所した杭州市は、浙江省の省都で多数のイノベーションを生み出す都市でもあり、今後水質や土壌、大気に関わる環境分析の中心地になると言われています。この杭州市に新たな研究開発拠点を共同で設立することで、中国の環境分野の研究者との連携を強化し、当該分野への深耕を図ります。
環境・健康イノベーションセンター内のラボには、当社の液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8060NX」や「LCMS-9050」、ガスクロマトグラフ質量分析計「GCMS-TQ8050NX」、エネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-7200」、ICP質量分析計「ICPMS-2050」などが設置されています。これらの装置は環境汚染物質の同定や、毒性メカニズムの分析、健康リスクの予防と管理に関する研究を支援します。
SSLは環境課題解決への貢献に向けて、以前から環境分野のキーオピニオンリーダーとの連携を深めています。PFAS環境分析分野のリーダーの一人である王亚韡研究員(中国科学院 生態環境研究センター)とは、LC-MSを用いたPFAS分析手法のデータベースを共同開発し、製品化しました。SSLは今後も中国市場の環境規制ニーズに沿った開発を推進していきます。
産学で目指す「人と地球の健康」
環境・健康イノベーションセンターの開所式は、4月25日にSSLと国科大 杭州高等研究院が共催した「杭州高等研究院-島津 環境・健康イノベーションフォーラム」内で行われました。環境と健康分野における科学技術のイノベーションをテーマにしたこのフォーラムには、研究機関、大学、企業から60人を超える専門家や関係者が参加しました。
両者の代表者はそれぞれ次のように挨拶しました。
国科大 杭州高等研究院 常務副院長 郑崇辉(Zheng Chonghui) 研究員
良好な生態環境は人々の生活にとって最も普遍的な恩恵です。国科大 杭州高等研究院の4つの中核分野の一つである環境学院は、環境分析と新汚染物質のプロセス・メカニズム、毒性と健康、汚染の防止と健康保護システムという3つの主要な科学研究分野に焦点を当てています。その分野における応用基礎研究、専門人材育成、研究成果の社会実装を推進しています。
国際的な科学技術協力は時代が向かう先であり、環境・健康イノベーションセンターの設立は、地球規模の課題への対応に不可欠な要件だと言えます。
今後も杭州高等研究院と島津がグローバルな協力関係を深め、持続可能な開発の新たな道を模索し、地球環境ガバナンスに貢献していくことを期待しています。
SSL社長 青山功基
環境と健康は現代社会の中核課題です。我々は世界をリードする分析技術を持つ企業として、高精度な機器の提供にとどまらず、中国のパートナーと共に革新的な分析手法の開発にも注力しています。
環境・健康イノベーションセンターは、新汚染物質の研究や、環境・健康へのリスク評価といった最先端分野での研究開発に重点的に取り組みます。そして、その成果の社会実装を推進してまいります。
島津の最先端機器と杭州高等研究院の研究における高い専門性を統合して、このセンターが中国の「生態文明建設」(持続可能な社会の構築)に貢献できることを期待しています。
環境・健康イノベーションフォーラムの参加者
地球の健康に対する人々の願いを実現し、社会に貢献するため、島津グループはこれからも挑戦を続けていきます。
