2024年度島津賞贈呈式を開催
今年度の推薦受付は7月末まで

2024年度島津賞、島津奨励賞表彰式並びに研究開発助成金贈呈式が、2月18日にホテルオークラ京都で行われました。公益財団法人島津科学技術振興財団(以下、島津財団)が行うこれらの表彰事業は、科学技術に関する研究開発の助成および振興を図ることを目的としています。
※特記のない限り、受賞者の肩書・役職は各賞への応募当時のものです

式典には受賞者や島津財団関係者ら117名が出席

式典には受賞者や島津財団関係者ら117名が出席

 

島津財団:45年にわたり科学技術振興に取り組む

島津財団は島津製作所の拠出資金により、1980年6月に設立されました。「科学技術に関し、研究開発の助成及び振興に関する事業を行い、我が国産業の発展と福祉の増進に寄与すること」を目的に、設立以来、主に功労者表彰と若手研究者への研究開発助成を行っています。

今では、累計表彰件数は70件を超え、研究開発助成は600件以上となりました。現在、島津財団理事長を務める榊裕之は1994年度の島津賞受賞者でもあります(研究テーマ「半導体ナノ構造における量子効果と計測に関する研究」)。また、2008年度には山中伸弥教授(現・京都大学iPS細胞研究所名誉所長)が「人工多能性幹細胞による生体反応予想」で、同賞を受賞されました。山中教授はその後、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞されています。

島津財団ロゴ

島津財団の事業には大きく分けて、「功労者表彰」と「研究開発助成」があります。功労者表彰には「島津賞」と「島津奨励賞」があり、それぞれ1981年度と2018年度に創設されました。前者では「科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において、著しい成果をあげた功労者」を表彰し、後者では「科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において独創的成果をあげ、かつその研究の発展が期待される45歳以下の研究者」を表彰します。

また、「研究開発助成」は「主として科学計測に係る科学技術領域と新分野で、独創的研究を対象とし、国内の研究機関に所属する45歳以下の研究者」を助成するもので、2024年度は23件が選出されました。

島津賞は大阪大学 永井健治教授へ

大阪大学 永井健治教授(右)と島津財団 理事長 榊裕之

第44回となる2024年度島津賞は、「蛍光/生物発光計測技術の開発による生命機能の解明研究」をされた永井健治教授(大阪大学産業科学研究所)に贈られました。ホタルやクラゲ、キノコなどに見られる「生物発光」という現象に着目し、高光度かつさまざまな色に光る生物発光タンパク質を開発したことなどが評価されました。

永井教授による受賞記念講演

生体分子や細胞が体の中でどのような働きをするかを調べるには、励起光で分子を発光させる「蛍光イメージング」という手法が有効です。一方で、この励起光が試料の細胞活動にさまざまな影響をもたらす場合があります。永井教授は、励起光を使わない「生物発光」に着目し、その物理化学性質を巧みに利用した改変によって、独創的な発光性タンパク質を数多く開発されました。その中でも、高光度かつさまざまな色に光る生物発光タンパク質やそれらに基づく発光バイオセンサーの開発の革新性が高く評価されました。

島津奨励賞は埼玉大学大学院理工学研究科 豊田正嗣教授、理化学研究所開拓研究本部 今田裕上級研究員、大阪公立大学大学院医学研究科 植田大樹准教授が受賞されました。

埼玉大学大学院理工学研究科 豊田正嗣 教授

埼玉大学大学院理工学研究科 豊田正嗣 教授
受賞テーマ「植物の機械刺激応答を可視化するリアルタイムイメージング技術の開発」

理化学研究所開拓研究本部 今田裕 上級研究員

理化学研究所開拓研究本部 今田裕 上級研究員
受賞テーマ「光融合プローブ顕微鏡技術の開発と分子系における量子変換の研究」

大阪公立大学大学院医学研究科 植田大樹 准教授

大阪公立大学大学院医学研究科 植田大樹 准教授
受賞テーマ「医用画像への科学計測としての人工知能の応用研究」

2025年度の島津賞の候補者推薦について

現在、今年度の候補者推薦を受け付けています。詳細は島津財団のWebサイトをご覧ください。

趣旨 科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において、著しい成果をあげた功労者を表彰する。
募集期間 2025年4月1日~2025年7月31日
表彰内容 受賞者1名に賞状、賞牌、副賞500万円

島津財団 担当者のコメント

島津財団は1980年に設立し、2012年に内閣府より公益法人認定を受けた公益財団法人です。前述のように島津賞・島津奨励賞(功労者表彰)といった表彰事業のほか、研究開発助成金事業を実施しています。

表彰事業の役員・評議員などには業界の著名者に就任いただいており、歴代の受賞者・助成金受領者は各分野でご活躍されています。設立目的である「我が国産業の発展と福祉の増進に寄与」に向け、今後も活動を続けてまいります。

 

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