培養肉の実物が大阪万博へ “家庭で作る霜降り肉”
「2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)で、当社は「培養肉未来創造コンソーシアム」の一員として培養肉の実物とミートメーカーを展示します。
培養肉未来創造コンソーシアムの出展ブース「家庭で作る霜降り肉」
社会課題の解決策になり得る培養肉
世界の人口は国連の推計によると、2050年に100 億人近くに達する見込みです。人口増加や食生活の変化に伴い、タンパク質の需要が高まるなか、家畜を飼育するための資源が不足しています。数年から数十年のうちに、この需要と供給のバランスが崩れる状態「タンパク質危機(global protein crisis)」が起こると言われています。
培養肉は、動物から採取した細胞の培養によって作られる、代替肉の一種です。「細胞を培養して作る」という点で、ほかの代替肉と異なります。培養肉は食糧問題や環境問題の解決策の一つとしての可能性を持っています。
3Dバイオプリント技術で目指す “本物”に近い培養肉
今回、大阪・関西万博に培養肉を展示する「培養肉未来創造コンソーシアム」は、2023年に大阪大学大学院工学研究科、株式会社島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、凸版印刷株式会社(現・TOPPANホールディングス株式会社)、株式会社シグマクシスによって設立されました。「3Dバイオプリントによる食用培養肉製造技術に関する社会実装の具体的な取り組み」を目的に、現在ではZACROS株式会社を加えた6者で活動を推進しています。


「培養肉未来創造コンソーシアム」ロゴと設立時の記者会見の様子(2023年)
松﨑典弥教授(大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻)が開発した「3Dバイオプリント技術」は、採取した動物の細胞から筋肉や脂肪・血管をそれぞれ培養し、各繊維を実際の食肉の配置と同じように組み合わせるというものです。これにより、赤身の間に脂肪が入り込んだ「霜降り」も再現可能になります。
当社が開発する培養肉自動生産装置の試作機(2023年当時のもの)
当社は同コンソーシアムにおいて、細胞培養工程を自動化・効率化する培養肉自動生産装置の開発、培地製造ノウハウを生かした培地の可食化やコストダウンのほか、味や香りなど「美味しさ」の分析・評価を担当しています。培養肉自動生産装置は、3D バイオプリント技術で筋肉・脂肪・血管の繊維をステーキ状に束ねる工程を自動化する世界初の装置です。
大阪・関西万博で「未来のキッチン」を体験
培養肉未来創造コンソーシアムは、大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンのプレミアムパートナーです。同パビリオンの「ミライの都市」エリアで、3Dバイオプリント技術による培養肉の実物およびミートメーカー(コンセプトモデル)を展示します。
ミートメーカーのコンセプトモデル(写真左)
本展示のコンセプトは「お肉は『店で買うもの』から、『家庭で作るもの』へ」です。お肉の種類から、鉄分・ビタミン・ミネラル・食物繊維といった加えたい栄養素まで、「個人の健康や好みに合わせた霜降りステーキを作り出せるミートメーカーが家庭にある」という「未来のキッチン」のイメージを表現します。また、期間中の7月8日には大阪ヘルスケアパビリオン「リボーンステージ」で、焼いた培養肉の香りを体験できるイベントの開催を予定しています。
「培養肉未来創造コンソーシアム」の大阪ヘルスケアパビリオンでの展示概要
ブース名称 | 家庭で作る霜降り肉 |
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開催場所 | 大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン リボーン体験ルートの「ミライの都市」 |
開催期間 | 2025年4月13日(日)~10月13日(月) |
展示内容 | 培養肉、ミートメーカー(コンセプトモデル)など |
ウェブサイト | 家庭で作る霜降り肉|展示内容|大阪ヘルスケアパビリオン |
