島津の技術・開発を育む舞台裏
年に1度の技術者の祭典「テクノフェア」

システムの挙動を確認する出展メンバー

ホールからあふれるような熱気、実際にあふれ出したポスターや展示品がロビーにも並ぶ。ここは島津製作所グループの技術者が一堂に会して、日頃の研究・開発成果を発表する「テクノフェア」の会場です。
当社の技術のうち、リリースされて表舞台に立つのは年間30件ほど、その舞台裏でどのように「技術」を育んでいるか、「テクノフェア」を通してご紹介します。

 

 

展示会の様子

技術による提供価値が顧客目線で想像しやすいよう、対象とする顧客ごとにエリアを分けて展示

テクノフェア2024

「研究部門は何をしているか見えづらい」。そこで、他の部門に対して「自分たちの取り組みを知ってもらう」という目的でスタートしたのが社内限定の技術交流会「テクノフェア」です。

研究所・事業部・デザイン部門・製造部門に加えグループ会社5社が、100件ほどの展示を出展します。うち半数以上は実機を展示し、講演会7テーマと特別企画(ショールーム見学ほか)を開催して、他部門の技術に触れる機会と、社内のコミュニケーションを創出します。

参加者は2日間で1,200人以上、技術者だけでなく営業や事務、役員や社長も参加します。出展者にとっては、経営層とも直接話ができて、自分の研究について意見がもらえる貴重な機会です。「これっていったいどんなもの?」からはじまり、「島津の技術で社会に貢献できることはないか」「この技術は社内でコラボレーションできるのではないか」などの視点を持って意見交換します。

テクノフェア ポスター

「要素技術発表展示会」として始まり、今回が23回目となった。2009年に「テクノフェア」としてスケールアップした

「魔改造の夜」の出場者

社内公募で集まったNHK「魔改造の夜」の出場者も、「組織横断型短期集中プロジェクトからの学び」と題して出展

講演の様子

「魔改造の夜(第一夜)恐竜ちゃん 缶蹴り」のリーダーは講演した

表舞台に立つ日を待つ若手技術者

展示小間のひとつ「生体計測システム」において、ハードウェアを 担当する浦岡泰之・家門優光と、ソフトウェアを担当する劉晃太朗にテクノフェアへの出展について話を聞きました。

システムの挙動を確認する出展メンバー(左から家門、浦岡、劉)

システムの挙動を確認する出展メンバー(左から家門、浦岡、劉)

「研究開発に没入すると、どうしても開発中のシステムを見る目が慣れてしまう。テクノフェアでは、参加した社員から新しい視点がもらえるのでありがたい」、「人が装着するシステムの開発をしています。装着感が大切なので多くの人に試してもらえるテクノフェアは貴重な機会で、意外な改善点の気づきもあります」、「来場した同期の社員に、自分がやっていることを見てもらえるのも嬉しい」など、社外秘の研究を担う社員ならではの話も聞くことが出来ました。

主催者も歩んだ技術者の道

「技術や研究を進めるには社内との交流が大切」と話すのは、島津テクノフェアを主催する技術推進部部長の小田一郎。自身も技術者として歩んできた経験から、「専門外の人の意見を聞くことは、非常にためになると考えている」と言います。一方で、「イノベーションを生むためには、若い技術者は積極的に学会に参加して、その会をけん引する立場を担うようになって欲しい」とも話しました。

技術推進部部長の小田一郎

小田が入社当時から大阪大学と共同研究・開発を続けた近赤外光を使った生体撮像装置は、2001年発売のOMM-2001シリーズの原型をつくりました。 現在は、近赤外分光法(NIRS)を用いて脳機能の画像を得る装置となり、医用機器事業部の販売製品となっています。

技術を育み社会のために

当社は、開発した技術や製品を長い目でみて大切に育む風土があります。そのため社会がこれらの技術を必要とした際に、すみやかに製品化できることが強みです。例えば、当社は新型コロナウイルス検査試薬キットを2020年4月に発売しました。開発に着手してからわずか1カ月という期間で製品化への目途を立てられたのは、今から25年以上前に開発されたノロウイルスの検査試薬技術があってこそでした。技術を育み少しずつ積み上げて、新製品や技術を生み出し続けてきました。

 

創業者島津源蔵の、科学知識の普及を通じて国家社会に貢献しようという高い志と強いチャレンジ精神がイノベーションを生み、島津製作所は150年間事業を続けて来られました。社員はそれぞれこの高い志と探究心を引き継ぎ、社是「科学技術で社会に貢献する」を胸に課題に取り組んでいます。

 

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