2022.06.07

物体の内部を非破壊で観察できるX線CTシステム

身近なところにある島津製作所の技術。今回のテーマはX線による非破壊検査です!

紙おむつの内部を三次元で立体的に透視し、吸水材の状態を観察した例もご紹介します。

 

X線によって内部の状態を解析

非破壊検査を端的に説明すると、検査対象を傷つけることなく、内部の状態や欠陥を観察・検査するものです。このうち、当社が得意とするのは、X線によって物体の内部を透視・画像化して解析する技術です。

物体の内側の状態を調べたいというニーズは多岐にわたります。当社のX線非破壊検査装置は、電機・電子、自動車、素材、食品をはじめとした様々な分野で利用されています。

用途としては、品質管理や故障解析だけでなく、基礎研究などにも用いられます。仏像などの文化財の調査に利用されるケースもあります。

当社におけるX線の歴史は深く、1896年10月10日に二代島津源蔵らの研究チームがX線の撮影に成功しています。これは、ドイツのレントゲン博士がX線を発見した11ヵ月後のことでした。

三次元観察が可能なCTシステム

X線非破壊検査装置の中でも、CTシステムは、三次元で物体の内部を観察できます。あらゆる角度・断面から立体的に観察できるのが特長です。

撮影した三次元データを出力・変換することで、CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアで読み込むことができます。また、3Dプリンター用ソフトウェアで読み取れば、造形して複製することも可能です。

今回の紙おむつの観察例では、吸水材の分布や密度を明確に可視化することができました。こうしたデータは、吸水性能や保水性能の評価につながります。

CTシステムによる紙おむつの観察例

紙おむつの観察例

CTシステムで紙おむつ内の吸水材の状態を可視化

内部の吸水材を画像処理で可視化

より簡単かつ素早い観察のために

従来の産業用X線CTシステムは、装置サイズの問題から設置場所に制約があることがありました。また、素早く検査結果を得たいというニーズが高まっていました。

こうした課題を解決するため、当社は、高出力(160kV級)の装置として世界最小かつ最軽量、初心者にも扱いやすい最新のソフトウェアを搭載した卓上のX線CTシステム「XSeeker 8000」を4月に発売しています。

※ 当社調べによる

卓上X線CTシステム「XSeeker 8000」

X線非破壊検査装置 開発担当者の声

X線非破壊検査装置を開発する、分析計測事業部 NDIビジネスユニットの担当者の声をご紹介します。

「XSeeker 8000」は高出力のX線発生装置と、高解像度検出器を搭載した卓上型のX線
CTシステムです。コンパクトな筐体に160kVの高いX線出力を備えています。樹脂成型品やアルミダイカスト部品、金属樹脂複合部品まで鮮明に内部観察できます。新開発の制御ソフトウェアにより高い操作性と高スループット性能も実現しました。

製品開発、故障解析から製造現場での品質管理まで幅広い用途に対応し、ものづくりの現場での品質向上に貢献します。

「XSeeker 8000」のプレスリリースはこちら

 

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