招徳酒造株式会社
杜氏 國石 直
「挑戦」という観点から初めて扱う「京の珀」について、どのような味わいを目指しましたか。
「京の珀」は、コハク酸を多く生成する特徴があり、今回の「源遠流長」は、その特徴を活かして、燗酒でも美味しい純米酒というコンセプトに決まりましたので、酒質設計の段階では、「スッキリとしてキレがあり、燗映えする純米酒」を目指すことにしました。
味わいとしてはやや辛口で、燗酒にした時に旨味が引き立つようなお酒になるよう意識しました。
今回のお酒をどのように味わってもらいたいですか
まずは常温か少し冷やして、その後で燗にして、温度帯の違いによる味わいの変化を体験して頂きたいと思います。
島津製作所との取り組みが、酒造りに与えている影響について
御社に様々な分析をして頂き、日本酒全体の中における、弊社のお酒の特徴を可視化して頂いたのは、大変興味深いできごとでした。
日本酒の世界は実に多様であり、各地の水や気候、造り手の個性といったものが大きく影響していることを改めて実感しました。これまで他の造り手の方々と話す時に、感覚的な表現になることが多かったのですが、各社のチャートを見比べながら話したことは、ひとつの共通言語を獲得したような体験でした。
弊社の特徴を意識し、活かしつつ、京都酵母の良さを表現できるような造りをしたいと思って、今年の「源遠流長」に取り組みました。
京都酵母の中でも、「京の珀」と「京の咲」は、今まで使用したことがありませんでした。今回、「京の珀」に挑戦する機会を頂き、大変有難かったです。残る「京の咲」にも、是非挑戦してみたいと思っています。
地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
清野 珠美
酵母「京の珀」の特徴にあわせた味わい方
2025年度「源遠流長」に使用された「京都酵母」の「京の珀」は、有機酸であるコハク酸を多く生成するという特徴を持っています。コハク酸は旨味成分の一つで、味わいとしては「旨味のある酸味」や「まろやかな酸味」と表現されますが、飲用温度が上昇するにつれて酸味がより際立つ性質があります。特に45℃前後の温度帯で美味しさを感じやすいことから(47℃くらいがベストでは?!)、京都市産技研では「燗酒用酵母」としてご紹介しています。
日本酒は、世界中に数あるお酒の中でも、幅広い温度帯による味わいの変化を楽しめる珍しいお酒です。冷や(常温)で味わうのもいいですが、ぜひ上燗(45℃)でもお召し上がりください。温度による味の変化をその日の気分でお楽しみいただいてはいかがでしょうか。
過去3年で皆さんが賞味された感想と次回(2026年度向け)への期待
過去3年間にわたり、「京都酵母」の「京の琴」「京の華」「京の恋」をそれぞれ使用し、「源遠流長」を製造していただきましたが、いずれの製品においても、招德酒造様の技術力によって「京都酵母」それぞれの特徴を非常によく引き出していただきました。そのため、完成した製品の「京都酵母」による違いを実感していただく目的で、来所者の皆様に、御社の取り組みとともに「源遠流長」をご紹介する機会も度々ございました。
そして今年度、招德酒造様におかれましては、初めて「京の珀」を用いた製造に取り組んでいただきました。現在、「京都酵母」は5種類ございます。ぜひ次回は、爽快な酸味をもたらす有機酸であるリンゴ酸を多く生成する「京の咲」を使用した日本酒製造をご検討いただき、「源遠流長」において「京都酵母」全制覇を目指していただくのはいかがでしょうか。
島津オリジナル日本酒「源遠流長」という取り組みについて
島津オリジナル日本酒「源遠流長」は、分析計測機器分野で国内最大手であり京都の先進企業である御社が、同じく歴史や文化、卓越した技術を受け継いできた京都の伝統的なものづくり企業である招德酒造様と手を取り合い、地域を盛り上げようとする、地域密着型の非常に意義深い取り組みであると考えています。この取り組みの一員として京都市産技研も「京都酵母」とともにご一緒させていただけることは、京都の産業支援機関として非常にありがたいことです。
この取り組みに3年間ご一緒させていただく中で、方向性をしっかりと取りまとめて企画されてきた総務の皆さま、そして自社愛にあふれる社員の皆さまが一体となって取り組まれてきたからこそ、成し遂げられたものと感じております。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
