GLIDE Technologies™
~気持ちが伝わる滑らかな操作感~

GLIDE Technologiesとは

医用機器の重量は数百kgにも及びます。島津のGLIDE Technologiesは、このような医用機器を手動で操作する操作者の気持ちが伝わる滑らかな操作感を実現します。

GLIDE Technologiesを構成する要素技術

GLIDE Technologiesは、「センシング技術」「トルク制御技術」「ショック軽減技術」「スタビリティ制御技術」「バランス技術」の5つの要素技術により構成されています。これら要素技術の開発には、医用機器の操作性の向上にかける技術者の思いが込められています。

GLIDE Technologies
センシング技術
ショック軽減技術
バランス技術
スタビリティ制御技術
トルク制御技術

■ センシング技術

パワーアシストの難しさは、操作者・装置の双方が移動することにあります。それぞれが動いている間も、操作者が装置に伝える力を正確に検知する必要があります。試作を繰り返した操作ハンドルには、そのノウハウがぎっしり詰まっています。

センシング技術

特許番号:特許第3575405号 他

■ トルク制御技術

F = Ma。この一般物理法則に従って装置の速度又は加速度を制御すれば、所望の動作を得られそうです。しかし、速度や加速度の制御ではどうしても「不自然さ」を払しょくできませんでした。その根源には、「遅れ」と「積算誤差」がありました。そこで、モータと装置の特性を補正して、常に正確なトルクを遅れなく伝達する、補正トルク制御を考案しました。これによって、「不自然さ」の払しょくに成功したのです。

トルク制御技術

特許番号:特許第3446715号 他

■ ショック軽減技術

パワーアシスト技術は、「操作者の感覚」との戦いです。例えば、静止状態から動作させる際は、操作者が思っている以上に強い力が操作ハンドルに加わります。そのまま制御すると装置が飛び出してしまいショックが生じます。センサで検出された力が同じでも、装置の駆動状態や操作者の移動状態によって、操作者の意図する操作力に実質的な差異が生じることが分かりました。このショックを「不自然さ」を生じさせずに取り除くのは、長い試行錯誤が必要でした。その結果が、到達したのが、速度依存型トルク制限技術(ショック軽減技術)です。

ショック軽減技術

特許番号:特許第5077270号 他

■ スタビリティ制御技術

複数方向の操作力を検出して、装置の方向をも制御する必要があります。直進安定性と方向即応性は、相反する性質を有しています。装置の設置状況や使用場面に応じて、直進安定性と方向即応性のバランスを変更するために、スタビリティ制御技術が生み出されました。

スタビリティ制御技術

特許番号:特許第4893199号 他

■ バランス技術

X線管等の主要部品が取り付けられる支柱。島津の回診用システムには、回診時の操作者の前方視野の確保のために、伸縮式支柱が採用されています。伸縮機構の鍵を握るのはバネとワイヤから成るバネバランス機構。らせん形のプーリにワイヤを巻き取りつつバネに力を伝える機構で構成することにより、支柱の伸縮に伴い生じるバネの弾性力の変化を吸収し、上端から下端までスムーズな伸縮を実現します。

バランス技術

特許番号:特許第6540880号 他

GLIDE Technologiesが搭載される島津製品

GLIDE Technologiesは、島津の一般撮影システム「RADspeed™ Pro style edition」におけるX線管のスムーズな移動操作を可能とする機能「POWER GLIDE™」を実現します。また、島津の回診用システム「MobileDaRt Evolution™ MX8 Version」における支柱のスムーズな伸縮およびスムーズな回診を可能とする機能「GLIDE VIEW™」を実現します。さらに、島津の近接透視システム「FLUOROspeed™ X1 edition」におけるデッキ部のスムーズな移動操作を可能とする機能「GLIDE ASSIST™」を実現します。

GLIDE Technologiesが搭載される島津製品

技術者の思い

「米国で一番のパワーアシスト搭載回診用装置を開発する。」
その思いから始まった開発。当初は、「人」の操作力を外部に配した系でフィードバック制御を行うことによりパワーアシストの実現を試みましたが、応答遅れによる操作者の違和感は大きなものでした。そこで、考えついたのが、「人」の操作力を内部に取り込んだ系でのフィードバック制御によるパワーアシストの実現。これにより、操作者の気持ちが伝わる滑らかな操作感に大きく近づくことができました。納得のいく装置を開発するまではいくつもの壁がありましたが、それを乗り越え、開発した装置は、現実に米国での販売数トップとなりました。実際に装置を使用いただいた病院関係者の方々からの驚きとお褒めの言葉を頂戴したときの喜びは、今でも覚えています。
今後は、「使い勝手の良さは島津」との印象を持っていただけるよう、更なる装置開発を進めていきます。また、現状、海外の病院では、当社の装置のことを「Shimadzuの装置」と呼ばれているようですが、将来は、当社の装置のことを単に「Shimadzu」と、社名のみで呼んでいただけるような、皆様により馴染みのある装置を開発したいと考えています。

荒木 立哉

開発者 荒木 立哉
(医用機器事業部 技術部 X線システムユニット)

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