島津評論 Vol.83[1・2](2026)
特集 インダストリー検査技術

特集論文

エネルギー分散型蛍光X 線分析装置による残留金属触媒分析

田村 祐樹 顔 旭

島津評論 83〔1・2〕 91~96 (2026)

要旨

金属触媒は有機合成反応において重要な役割を果たす。一方で,製品中に残留する金属触媒は品質および安全性の観点から管理対象となるだけでなく,材料由来を判別する指標ともなり得る。
本稿では,エネルギー分散型蛍光X 線分析装置(EDXRF)を用い,(1)鈴木– 宮浦クロスカップリング反応における均一系パラジウム(Pd)触媒の残留量評価,(2)ポリエチレンテレフタレート(PET)中に残留するアンチモン(Sb)およびゲルマニウム(Ge)触媒の定量および由来判別を行った。(1)では検量線法により約1 mg/kg の低濃度域における残留Pd の定量を行い,EDXRF の微量残留触媒分析への適用可能性を確認した。(2)ではファンダメンタルパラメーター(FP)法を用いてSb およびGe を定量し,これらの濃度が数十mg/kg 以上の場合には,標準試料を用いることなく簡便に分析可能であることを示した。
以上の結果から,EDXRF は残留金属触媒を前処理なしに迅速かつ高感度に定量でき,工程管理および材料由来判別への幅広い応用が可能であることが明らかとなった。


分析計測事業部Solutions COE アプリケーションデザインユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。