島津評論 Vol.83[1・2](2026)
特集 インダストリー検査技術

特集論文

金属有機構造体(MOF)を用いたGX 分野向け低濃度ガスモニタリング技術の開発

倉本 智史1 横山 誉宗2 齊藤 夏樹1 岸原 弘之1

島津評論 83〔1・2〕 75~90 (2026)

要旨

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて,水素,アンモニア,CO₂,メタン等を利用する次世代エネルギーシステムの社会実装が進められている。これらの分野では,多様な夾雑ガスが共存する環境下において,触媒被毒防止や大気汚染防止を目的として,低濃度ガスを迅速かつ高感度にモニタリング可能な計測技術が求められている。近年,高比表面積,多様な細孔構造および高いガス選択性を有する金属有機構造体(MOF:Metal-Organic Frameworks)の実用化が進展しており,選択的なガス除去や貯蔵材料として注目されている。
著者らは,MOF の選択的なガス分離・濃縮機能に着目し,MOF を組み込んだ分析計測技術の開発を進めている。本研究では,対象ガス種に応じてMOF を濃縮機能材料およびセンシング機能材料として活用した原理検証機を開発した。これらを用いて,水素品質管理および燃焼排ガスモニタリングへの適用性を評価した結果,低濃度ガスの連続モニタリングが可能であることを確認した。これにより,MOF を活用したGX(グリーントランスフォーメーション)分野における低濃度ガスの連続計測技術の可能性を示した。本稿では,各原理検証機の構成および評価結果について報告する。


1基盤技術研究所先端分析ユニット
2分析計測事業部技術部

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。