特集論文
異物分析を中心とした不具合解析へのFTIR・ラマンの活用
島津評論 83〔1・2〕 39~48 (2026)
要旨
不具合解析においては,事前の入念な情報収集と外観観察に基づいて適切な分析手法を選定することが重要である。なかでも異物分析では,フーリエ変換赤外分光光度法(FTIR)は前処理の容易さ,多様な測定法,および豊富なスペクトルデータベースの有効性から第一選択となるが,無機化合物やミクロンオーダーの微小試料など,FTIR 単独では十分な情報が得られない試料も存在する。そのような場合には,赤外分光法と相補的なラマン分光法の併用が有効である。本稿では,異物分析の一般的なフローを概説し,FTIR とラマン分光法の特徴と使い分けを整理するとともに,両手法を同一箇所で切り換えて測定できる赤外ラマン顕微鏡AIRsight™ の構造と特長を紹介する。さらに,島津製作所独自の「異物ライブラリ」による混合異物の同定,ラマンによる無機異物の同定,多層フィルム断面の微小領域の成分同定,紫外線硬化樹脂内部の硬化不良部を非破壊で可視化した事例を通じて,両手法の併用が,異物分析を中心とする不具合解析に有効であることを示す。
1分析計測事業部Solutions COE アプリケーションデザインユニット
2分析計測事業部Solutions COE GX ソリューションユニット
3分析計測事業所スペクトロビジネスユニット
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。


