特集論文
島津評論 82〔3・4〕 205~210 (2025)
要旨
洋上風力発電設備などの海洋構造物に用いられる鋼材は腐食防止として電気防食法が用いられている。電気防食法の効果は防食電流密度の設計によって示されているが,防食電流密度は水温や水流など構造物の設置されている環境によって大きく変化し,さらにエレクトロコーティングの生成により経年変化し定常値は初期値の50%以下になることが知られている。一方で,実際に防食電流密度を測定する機器はなく,防食効果の確認と維持管理は防食電位を測定することで行われている。島津製作所では水中電位を非接触で計測可能なUEP(Underwater Electric Potential)測定器を開発しており,海洋構造物の劣化診断に向けた開発を進めている。
著者らはUEP 測定器を用いた電流密度測定方法とUEP 測定器自身および海中環境に起因するオフセット成分を補正する手法とUEP 測定器の水中電位差測定結果から電流密度を算出する手法を考案した。また,電流密度測定器を試作し,実際の港湾設備で防食電流密度の計測を行い,電流密度が計測できることを確認した。今後は電流密度測定の妥当性の確認と,測定器を水中ロボットへ搭載しての計測のための開発を進める。
1産業機械事業部ジオサイエンス部
2東京理科大学創域理工学部社会基盤工学科 博士(工学)
3海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所構造研究 領域材料研究グループ 博士(工学)
4海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所構造・産 業システム系産業システム研究グループ 博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。


