島津評論 Vol.82[1・2](2025)
創業150周年記念特集 社会に貢献する科学技術

特集論文

高速度ビデオカメラ HyperVision HPV-X3の開発

川口 泰範1十時 慎一郎1野村 英一1北邨 益飛1矢野 文彬2西川 祐貴2

島津評論 82〔1・2〕 125~132 (2025)

要旨

CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサをベースとした高速撮像素子FTCMOS3(Frame Transfer CMOS)センサを搭載した高速度ビデオカメラHyperVision HPV-X3を開発した。HPV-X3は,従来機種「HyperVision HPV-X2」と比べて2倍の最大で2000万コマ/ 秒という撮影速度と3倍の30万画素に画素数が向上し,最高撮影速度でも解像度は低下しない。また,2台のカメラによる正確な同期撮影だけでなく,外部からのフレームタイミング信号と同期して撮影する機能により,これまでの撮影時の露光タイミング調整の易化と観察できる利用分野が広がる。2000万コマ/ 秒という超高速に撮影が行えることによって,従来では観察することができなかった超高速現象を可視化することができるため,航空・宇宙機器や自動車,産業機器などの最先端の研究開発,医療分野の基礎研究などの幅広い分野で役立つことが期待される。本稿では,HPV-X3の概要と撮影例について報告する。


1分析計測事業部試験機ビジネスユニット
2分析計測事業部Solutions COE マテリアル/ インフラストラクチャーソリューションユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。