島津評論 Vol.82[1・2](2025)
創業150周年記念特集 社会に貢献する科学技術

特集論文

マルチデバイス生体計測システムHuME(Human Metrics Explorer)TM の開発

村田 耕一1木村 健士2北河 茜3家門 優光3劉晃 太朗3伊藤 喜直2浦岡 泰之3古田 雅史3

島津評論 82〔1・2〕 75~84 (2025)

要旨

生体信号計測技術はさまざまな製品やユーザ体験の客観的評価手法として活用されているが,生体計測実験の実施には専門知識や計測・データ解析のスキルが求められるとともに,センサの被装着者の行動を制約する課題もあり容易でない。著者らは,被装着者の行動をできるだけ制限せずに,複数の計測デバイスを用いた生体計測実験および計測データの同期をより簡単に実施できるように,ウェアラブル型生体計測デバイスを用いたマルチデバイス生体計測システムHuME(Human Metrics Explorer)を開発した。本稿では,開発したマルチデバイス生体計測システムHuME の特長と構成を述べるとともに,本システムを食品のパッケージを開封する際のユーザ体験の評価に適用し,タスク間比較評価,および,動画とセンサデータの同期による一連の体験からのイベント抽出評価の2種類の評価方法が可能であることを示した事例を紹介する。


1スタートアップインキュベーションセンター 博士(人間情報学)
2スタートアップインキュベーションセンター
3基盤技術研究所脳五感ユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。