特集論文
サンドイッチELISA を用いた加工食品中くるみ検出試薬の開発
島津評論 81〔3・4〕 187~194 (2024)
要旨
くるみの特定原材料への追加に伴い適切な表示を行うため,検査法の整備が必要となる。そこで著者らは,くるみの主要アレルゲンである2S アルブミンを測定対象タンパク質としたサンドイッチELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)を開発した。開発した検査法を用いて159種類の陽性検体・陰性検体を評価したところ,産地や加熱の有無に関係なくすべてのくるみに反応し,くるみの近縁種を除く陰性検体には未反応(1 μg/g)となったことから,特異性の高い測定系であることが確認された。また,市販のさまざまなくるみ含有加工食品を評価した結果,クルミオイルを除くすべての食品で食品成分の影響を受けずに適切な反応性が確認された。定量検査法としての妥当性を評価するために,開発した検査法を外部施設で評価したところ,特定原材料の定量検査法として満たすべき性能を達成した。以上より,開発した検査法はくるみの定量検査法として十分な性能を有すると考えられた。
1島津ダイアグノスティクス株式会社
2島津ダイアグノスティクス株式会社 医学博士
3島津ダイアグノスティクス株式会社 博士(海洋科学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。