特集論文
食品分析における波形処理ソフトウェアPeakintelligenceTM の有効性
島津評論 81〔3・4〕 231~236 (2024)
要旨
近年の長寿社会において,食品は健康の維持やQOL の向上に大きく寄与している。そのため,食品分析の対象は,栄養成分や機能性成分といった有用な成分から,残留農薬,PFAS(有機フッ素化合物),自然毒などの有害成分まで多岐にわたる。前処理技術や分析機器の進展により,前処理・分析工程の効率化と工数の短縮が進んでいるが,解析作業がボトルネックとなっている場合も多い。食品への関心が高まる中,対象成分数や検体数が増加しており,作業者の負担やさまざまなリスクが課題となっている。Peakintelligence は,人工知能(AI)技術を用いて開発された波形処理作業の省力化・効率化を図るソフトウェアである。LC-MS/MS の測定結果に適用したところ,従来の解析アルゴリズムと比較して作業性が改善され,解析時間も短縮された。また,人為的作業の軽減により,作業者のミスや結果のばらつきといった属人的なリスクの回避にも寄与した。
1分析計測事業部Solution COE ヘルスケアソリューションユニット
2分析計測事業部ソリューション企画推進室
3分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部MSBU
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。