島津評論 Vol.81[3・4](2024)
特集 食で実現する人と地球の健康と持続可能な食農産業

特集論文

大腸菌群迅速測定用簡易培地コンパクトドライTM CFR の開発と MicroVal 認証取得へ向けた性能評価

近藤 奈央1Alice Foxall2Suzanne Jordan2青柳 ひとみ1中川 湧貴1水落 慎吾1柴原 裕亮1猪井 俊敬1奥 裕一1

島津評論 81〔3・4〕 175~186 (2024)

要旨

わが国では,食品衛生法の中で乳・乳製品全般について大腸菌群に関する成分規格が定められている。さらに,乳・乳製品などの賞味期限の短い日配品では特に,判定時間の短縮化・迅速化が求められている。
コンパクトドライは,調製不要で簡便な操作で使用できる培地で,従来法と比べ消耗品の廃棄量が少ないこと,多種多様なラインアップでさまざまな検査を簡易に実施できること,常温で長期保管可能などの利点がある。大腸菌群測定用項目としてコンパクトドライCF やEC が販売されているが,従来法(VRB 寒天培地)と同等の24±2時間での判定となり,迅速測定はできなかった。
著者らは,コンパクトドライの大腸菌群迅速測定用項目(コンパクトドライCFR)を新たに開発した。ISO16140-2:2016に準拠した性能評価で,コンパクトドライCFR は,生乳および乳製品,加熱処理された乳製品に対して,ISO4832:2006標準参照法と同等の性能を持つ,迅速かつ特異的,選択的な大腸菌群の定量が可能であることが実証され,培養開始16時間~18時間での判定で,第三者機関で妥当性確認された試験法としてMicroVal 認証を取得することができた。


1島津ダイアグノスティクス株式会社
2Campden BRI

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。