特集論文
MALDI-TOF MS を用いたミルク中のA1 およびA2 β-カゼインの識別
─オンプレート消化法の活用─
─オンプレート消化法の活用─
島津評論 81〔3・4〕 161~168 (2024)
要旨
A2ミルクはA1 β-カゼインを含まずA2 β-カゼインのみを含むミルクである。A2ミルクは通常のA1/A2ミルクと同等の栄養価をもちつつ, よりよい消化性を有し,ほかの疾患へのリスクも低いとされているため,健康志向の高まりから世界的にニーズが高まっている。それに伴い,ミルク市場ではA2ミルクだけでなくA2ミルクを使用したヨーグルトやジェラートなど加工乳製品も販売され始めているが,品質保証の観点からミルクまたは乳加工製品中にA2 β-カゼインのみ含まれていることを確認する必要がある。現在は,遺伝子検査を用いた牛に対する検査方法が主流だが,時間と費用がかかり,最終製品の製造工程でA1 β-カゼインが混入する可能性もあるため,最終製品であるミルクや加工乳製品を用いた迅速な検査方法が必要とされている。本稿では,MALDI-TOF MS とオンプレート消化法を用いたミルク中のA1およびA2 β-カゼインの迅速識別方法について紹介する。
1Shimadzu Scientific Instruments
2分析計測事業部Solutions COE
3Consolidated Lab Services
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。