島津評論 Vol.81[3・4](2024)
特集 食で実現する人と地球の健康と持続可能な食農産業

特集論文

37成分のD/L-アミノ酸を対象としたUHPLC による
高感度自動分析法と酒類プロファイリング

岩田奈津紀小林まなみ

島津評論 81〔3・4〕 131~144 (2024)

要旨

 N-アセチル-L-システイン(NAC)とN-イソブチリル-L-システイン(NIBC)のキラル中心を有するチオールを用い,o-フタルアルデヒド(OPA)で誘導体化した蛍光ジアステレオマーに対して,二種類の分離分析法を自動的に切換えながら各試料を二回分析することによりPro を除く37成分のタンパク質構成D/L-アミノ酸定量のための補完的なHPLC法を過去に報告した。本研究では,より高疎水性のOPA/NIBC 誘導体化ジアステレオマーの単一条件による分離を検討した。移動相のメタノール比率を増加し,カラム温度を20℃に設定することにより,66分以内に37成分のD/L-アミノ酸ジアステレオマーを一斉に分離することができた。D/L-アミノ酸のOPA/NIBC 誘導体化を自動化することにより,各ジアステレオマーのピーク面積再現性は1.6%RSD 以下であった。検量線の直線性は各ジアステレオマーに対して0.999以上であった。この方法を酒類試料に適用した結果,D/L-アミノ酸に対するD-アミノ酸の割合は6%以下であったが,定量可能であった。5種類の酒類試料の主成分分析は,これらの試料が酒類のタイプによって分類されることを示した。確立した方法は酒類プロファイリングに適用できる可能性がある。


分析計測事業部Solutions COE

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。