特集論文
応力発光技術を用いた金属3D プリンター造形品の疲労試験における破壊予兆の可視化
島津評論 81〔1・2〕 55~70 (2024)
要旨
応力発光材料は,圧縮・引張などの機械的外力を加えると繰り返し発光する性質をもつセラミックス粒子である。
これを試験体の表面に付着させ,外力印加時に放出される応力発光を捉えることにより試験体の機械的特性を測定するという試みは各所で行われている。
この測定においては,応力発光材料を発光可能な励起状態にするための励起光照射過程が必要となり,このプロセスはその後の微弱な応力発光を検出するプロセスと時間的に分けて行うのが一般的である。このことは,予期せず断続的に発生する現象の可視化を行いたい場合における難点であった。
著者らは計測システムに光学フィルターを加え,さらに得られた結果に適切な画像処理を施すことにより,励起光を常時照射した状態でコントラストの高い応力発光画像を取得する手段を考案した。この手法を用いて金属3D プリンター造形品の疲労破壊試験を行い,破壊の予兆と思しき現象を可視化することに成功したので報告する。
1分析計測事業部技術部
2株式会社神戸工業試験場博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。