特集論文
島津評論 81〔1・2〕 3~10 (2024)
要旨
地球温暖化は干ばつ,海面上昇,暴風雨,生物多様性の減少など地球環境に深刻な影響をもたらしており,人間の生活へも影響を与えている。地球温暖化の原因は産業活動によって排出された二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスであると考えられており,世界的にも抑制が求められている。抑制手段として注目されているのが二酸化炭素を炭素源と捉え,炭素化合物へとリサイクルするカーボンリサイクルであり,カーボンリサイクル技術の中でも製造時の環境負荷が低いことから二酸化炭素を直接利用可能な微生物の活用が検討されている。しかし,実用化にあたっては生産可能な化合物種が限られていること,製造コストが高く商用利用に向けた大幅な改良が必要なこと,さらに大量生産可能なバイオリアクターの開発が必要なことなど課題が山積している。
本稿ではこれまでに島津製作所がスマートセルプロジェクトで獲得した知見や協業先との連携をもとに分析計測技術によって二酸化炭素バイオものづくりの課題解決にどのように貢献していくか,その展望を紹介する。
1分析計測事業部ダイアグノスティクス統括部細胞ビジネス ユニット
2経営戦略室グローバル戦略ユニット
3分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部LC ビジネス ユニット
4分析計測事業部ダイアグノスティクス統括部細胞ビジネス ユニット博士(工学)
5Shimadzu Scientific Instruments, Inc.
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。