島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

微生物コロニーピッキング装置の開発

今井 ゆき菜1山川 倫誉2武田 明莉2山田 卓生2山本 周平1葛原 由貴1鈴木 崇3山本 善丈2江連 徹4玉木 秀幸5関口 勇地6鎌形 洋一7

島津評論 80〔3・4〕 185~190 (2023)

要旨

微生物を分離培養して調べることは微生物研究のもっとも基盤的かつ根幹の技術である。この分離培養には,寒天培地に生育させた微生物のコロニーをピッキングする長時間にわたる作業が必要不可欠である。特に,腸内細菌叢そうの研究においては,操作の自由が利かない嫌気チャンバー内での作業が必要であり,ピッキングの自動化が強く求められている。そこで著者らは,嫌気チャンバー内に設置可能かつ,自動で連続的にピッキング可能な微生物コロニーピッキング装置を開発した。細胞コロニーピッキング装置であるCELL PICKERをベースとし,電動ステージの開発,ピッキング様式の変更および撮像系の変更を行うことで,ユーザーが選択する微生物コロニーを連続ピッキングすることが可能となった。今後,画像解析によるピッキングコロニーの自動決定機能を追加することにより,スループットをさらに向上させ,腸内細菌叢研究の加速ならびにマイクロバイオーム創薬の実現に貢献していきたい。


1分析計測事業部 ダイアグノスティクス事業統括部 細胞ビジネスユニット
2分析計測事業部 技術部
3分析計測事業部 ダイアグノスティクス事業統括部 細胞ビジネスユニット 博士(生命科学)
4分析計測事業部 ダイアグノスティクス事業統括部 細胞ビジネスユニット 博士(工学)
5国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 生物プロセス研究部門 博士(農学)
6国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 バイオメディカル研究部門 博士(工学)
7国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生命工学領域 博士(農学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。