島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

腸内細菌共培養デバイスの開発とヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞への適用

米田 恭子1橋本 豊之2高橋 実花子2井上 統宏3大野 隆3園村 和弘4髙橋 雅俊2

島津評論 80〔3・4〕 155~164 (2023)

要旨

腸内細菌( そう )によるヒトの健康へのさまざまな影響が近年明らかとなり,腸内細菌に着目した健康増進や疾病の予防や治療法への関心が高まっている。腸内細菌を利活用するためには腸内細菌と宿主(細胞)の相互作用を評価することが重要であると考えられるが,ほとんどの腸内細菌は酸素にさらされると失活してしまう嫌気性細菌であり,ヒト細胞が生存できない無酸素環境を要求する。そのため従来のin vitro実験系では両者を生きた状態で共培養することができないという課題がある。腸内細菌とヒト細胞の共培養を実現するため,嫌気チャンバとフロー型培地供給方式を採用した新規in vitroモデル“腸内細菌共培養デバイス”を開発した。本稿では開発品の概要ならびにヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞を使った適用例を紹介する。


1基盤技術研究所 バイオ・ケミカルユニット 博士(農学)
2基盤技術研究所 新事業開発室
3基盤技術研究所 研究推進室
4基盤技術研究所 ライフサイエンス研究所 博士(薬学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。