島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

小さく,明るく,高熱安定性の発光酵素「picALuc」

大室(松山)有紀

島津評論 80〔3・4〕 137~146 (2023)

要旨

発光酵素は,レポータータンパク質として,大きなダイナミックレンジ・高い検出感度を示し,光毒性がなく,生体深部に利用しやすいといった長所をもつ。小さな発光酵素は,標的,または標的結合タンパク質との融合時に正しい構造のタンパク質を発現させやすい,標的・標的結合タンパク質に対して立体障害を起こしにくい,発光酵素をコードする遺伝子が短いためにゲノム挿入が容易となる,bioluminescence resonance energy transfer(BRET)を利用した検出系に適するといった利点がある。
著者らは,実用的な明るさをもつ発光酵素の中で,世界最小サイズの発光酵素「picALucTM」を開発した。picALuc はサイズが小さく,明るいだけでなく,熱安定性が高く,さらに大量作製が可能なことから,有用なレポータータンパク質である。


基盤技術研究所 バイオ・ケミカルユニット 博士(理学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。