島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

エクソソームの定量・表面抗原定量技術の開発

渡辺 真1青木 智景2佐藤 孝明3宮澤 雄太4宗 芳和4

島津評論 80〔3・4〕 131~136 (2023)

要旨

さまざまな細胞から放出されるエクソソーム(small extracellular vesicle: sEV)は近年注目を集めている。sEVの中には,タンパク質,脂質,核酸が含まれており,診断・治療などの臨床応用,および化粧品,食品分野への産業応用が大いに期待されている。それにともなって,エクソソームを活用した研究開発には,アカデミアだけでなく多くの企業も参入してきており,本研究分野の市場は急成長を遂げている。著者らは,イムノクロマト法を活用したsEVの迅速定量試薬の開発を行った。一方で,金属標識抗体と質量分析を用いたsEV複数抗原の定量システムを開発した。本稿では,これら開発手法の紹介と今後の展望について紹介する。


1基盤技術研究所 ライフサイエンス研究所 博士(理学)
2基盤技術研究所 ライフサイエンス研究所
3基盤技術研究所 ライフサイエンス研究所 医学博士
4大日本塗料株式会社 スペシャリティ事業部門 スペシャリティ事業部 機能材開発グループ

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。