島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

血液培養陽性検体からの直接菌種同定・薬剤感受性検査に関する検討

岩田 祐士

島津評論 80〔3・4〕 101~106 (2023)

要旨

血流感染症の治療には最適な抗菌薬の早期投与が不可欠である。しかし,現状の細菌検査では,最適抗菌薬の選択に必要な菌種同定結果および薬剤感受性検査結果が得られるまでに数日単位の時間がかかっており,その迅速化が求められている。本稿では,血液培養後の二次培養工程にかかる一晩という時間を短縮する前処理手法について,標準菌株を用いて検討した結果について紹介する。通常の検査で一晩かかっている平板培地による二次培養工程を経ずに,血液培養後前処理を行ったサンプルを用いて,直接MALDI-TOF MS(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)菌種同定および薬剤感受性検査を行った。結果,MALDI-TOF MS菌種同定ではすべての検体で属以上の同定が可能であり,また薬剤感受性検査ではMIC(最小発育阻止濃度)一致率94.9%,カテゴリ一致率97.8%と良好な結果が得られることを確認した。


分析計測事業部 ダイアグノスティクス事業統括部 臨床・微生物検査ビジネスユニット

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。