島津評論 Vol.80[3・4](2023)
特集 ダイアグノスティクス

特集論文

全自動微生物検査装置ライサスS4による迅速薬剤感受性検査の臨床的意義

富永 桂1富川 知広2佐々木 智子2米原 愛2濱部 凜3遠藤 隆一3猪井 俊敬2奥 裕一4

島津評論 80〔3・4〕 93~100 (2023)

要旨

島津ダイアグノスティクスでは2001年にライサスを上市して以来,2010年にライサスANY,2016年にライサスS4を上市し,臨床微生物検査室での菌種同定と薬剤感受性検査とに活用いただいている。医療機関の臨床微生物検査室では,感染症を疑う患者の検体から微生物を分離し,その菌種同定と薬剤感受性検査とを実施する。これらの検査には,患者を救う意義と使用可能な抗菌薬の選択肢を広く維持する意義とがある。正しい薬剤感受性検査結果を得ることによって,患者を救うために適切な治療薬を選択することができる。また,薬剤耐性菌を正しく検出することによって,無駄な抗菌薬の使用を抑制できる。抗菌薬の適正使用は新たな耐性菌の発生を抑制することにつながり,使用可能な抗菌薬の選択肢を広く維持することができる。本稿ではライサスS4の基本原理と臨床現場での活用事例とを報告する。


1島津ダイアグノスティクス株式会社 製品開発部 薬学博士
2島津ダイアグノスティクス株式会社 製品開発部
3島津ダイアグノスティクス株式会社 事業企画推進室
4島津ダイアグノスティクス株式会社 製品開発部 医学博士

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。