島津評論 Vol.80[1・2](2023)
特集 医用画像機器

特集論文

遺残確認支援ソフトウェアSmart DSITMの開発

細見 直正江﨑 達朗西野 和義﨑本 智則

島津評論 80〔1・2〕 65~68 (2023)

要旨

外科手術では,手術デバイスが患者の体内に取り残されるという医療事故が偶発的に発生している。このような医療事故が発生した場合は患者の生命を脅かす可能性があるため,通常はさらなる手術が必要となり,患者には肉体的,精神的な負担を与える可能性がある。病院施設においても,この種の医療事故発生によって社会的信頼性の喪失や経済的損失となる可能性がある。これらの医療事故防止のために手術前後での手術デバイスの計数と術後X線画像での手術デバイスの残存確認が行われているが,手術デバイスの計数ミスやX線画像での異物遺残の見落としなどのさまざまな要因により,依然としてこの種の医療事故の発生は報告されている。今回,この術後X線画像での異物遺残確認をサポートするディープラーニングを活用した画像処理を開発した。この画像処理は入力画像上で人体構造と異なる特徴をもつ部分を強調する。これにより,X線画像中の手術デバイスなどを強調し,術後X線画像での異物遺残確認作業をサポートする。


医用機器事業部 技術部

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。