島津評論 Vol.79[3・4](2022)
特集 次世代モビリティ

特集論文

電動車の部品の漏れ試験を高精度・高速に行うリークテストシステムの紹介

徳嵩 佑

島津評論 79〔3・4〕 155~159 (2022)

要旨

近年,漏れ試験はさまざまな方法が JIS および NDIS 規格で定義されている。その中でも高精度,高速に漏れ試験を行う手法としてヘリウム漏れ試験方法がある。これに用いるヘリウムリークディテクタは作業者に依存せず定量的に漏れ量の測定が可能である。ヘリウムリークディテクタによる測定原理は,ヘリウムガスをトレーサガスとし試験体より漏れ出たヘリウムガスが分析管内でイオン化され,磁界により質量分析されたヘリウムガスイオンのみを検出する。ヘリウムガスは大気中の含有量が 5.2 ppm ときわめて少ないことからバックグラウンドが低く,単原子分子で分子径が非常に小さく部品の微小欠陥や孔を通り抜ける漏れを検知しやすい。また不活性ガスで試験体に影響を与えず人体にも無害で最適なトレーサガスとして利用され,ほかの試験方法と比べ高精度で高速に漏れ試験を行えるため,電動車で使用される部品の自動生産ラインでも数多く採用されている。
近年ヘリウムガスの需要は年々増加しており,産出国の90%以上がアメリカ,カタール,アルジェリアが占めており,一部の天然ガス田でしか精製できない希少な資源であるため供給問題が課題となっている。この課題に対し島津産機システムズでは漏れ試験で使用したヘリウムガスを再利用するヘリウム回収装置の提案と入手性がよく安価な水素ガスで漏れ試験が行えるように水素リークテストシステムの提案を進めている。
リークディテクタメーカーである島津産機システムズでは漏れ試験技術を応用し高精度,高速に漏れ試験を行えるリークテストシステムの開発,製造を行っており今回はこれらの製品を紹介する。


島津産機システムズ株式会社

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。