島津評論 Vol.79[3・4](2022)
特集 次世代モビリティ

特集論文

高出力青色半導体レーザ光源による銅加工応用と分析計測機器による加工品質評価

石垣 直也1諏訪 雅也2宇野 進吾1

島津評論 79〔3・4〕 133~139 (2022)

要旨

電動車(xEV)の普及拡大に伴い,加工需要が急増する純銅材の加工用光源として高出力青色半導体レーザ光源を開発した。レーザ1台あたり出力500 W を実現し,さらに複数のファイバ出力をまとめて1本のファイバに再結合するコンバイナを開発し,ファイバ1本あたり出力1.5 kW を達成した。本稿では,φ1.8 mm の銅単線のレーザ溶接や銅粉末のレーザコーティングを行い,金属加工用光源として高出力青色半導体レーザ光源の実用性を検証した例を紹介する。また,島津製作所の分析計測機器を用いて加工サンプルの加工品質を検証した。X 線 CT では非破壊で溶接内部のボイドを測定することが可能であり,電子プローブマイクロアナライザを用いることでレーザコーティングにおける母材金属と溶着金属の希釈を精密に解析できることを示した。今後は解析結果を蓄積することでサンプルの材質,形状などにあわせた最適な加工プロセスを事前に予測するプロセスインフォマティクスへの展開が期待できる。


1基盤技術研究所 先端分析ユニット
2基盤技術研究所 先端分析ユニット 博士(工学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。