特集論文
~カーボンニュートラルの実現に向けた材料開発のために~
島津評論 79〔1・2〕 61~68 (2022)
要旨
走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)または原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)は,材料表面のナノメートルスケールの局所的な形状観察と物性評価の両方を行える装置である。SPM/AFMは試料に導電性を必要としないため,高分子材料や生体試料まで幅広い材料に適用でき,真空中,大気中から液中までさまざまな環境で動作するなど,汎用性に優れた特長を有する。このため,SPM/AFM は光学顕微鏡や電子顕微鏡に比肩する応用の広がりが期待される高分解能観察手法である。
著者らは従来装置より基本性能と操作性を向上させた新しいSPM/AFM であるSPM-Nanoa を開発した。SPMNanoaは,誰にでも簡単に高分解能で形状観察と物性評価が行えるため,省エネルギーや電化などのカーボンニュートラルの実現に向けた新しい材料開発への寄与が期待できる。
今回は,SPM-Nanoa の応用事例として複合材料の機械特性評価と,電池材料であるリチウムイオン電池の正極材の電気特性評価を行った。
1分析計測事業部X 線/ 表面ビジネスユニット
2分析計測事業部Solutions COE マテリアル/ インフラストラ クチャーソリューションユニット 博士(材料)
3分析計測事業部Solutions COE マテリアル/ インフラストラ クチャーソリューションユニット
4株式会社島津テクノリサーチ
5株式会社島津テクノリサーチ 博士(理学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。