特集論文
グリーンイノベーションを背景としたFTIR によるプラスチックの分析
島津評論 79〔1・2〕 15~22 (2022)
要旨
新素材の開発や適切なリサイクルのためには,対象のプラスチックの材質や化学構造の把握が重要となる。本稿では,FTIR を用いたプラスチックの分析手法,そして,グリーンイノベーションにおいて関心の高いバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックの分析事例を紹介する。また,近年問題視されているマイクロプラスチックの分析事例も紹介する。
FTIR はプラスチックをはじめとする有機材料を定性する用途で広く使用される。赤外スペクトルの定性は既知スペクトルとの比較によって行うが,熱や紫外線で劣化したプラスチックは,赤外スペクトルが変化しているため正しい定性ができない場合がある。これを解決するため,島津製作所は紫外線劣化プラスチックライブラリや加熱劣化プラスチックライブラリを開発した。両ライブラリを含むPlastic Analyzer は,一般的なプラスチックの定性に加えて,これまで困難であったプラスチックの劣化分析も強力にサポートする製品である。本稿では劣化したプラスチックの赤外スペクトルの特徴についてもあわせて述べる。
1分析計測事業部Solutions COE ビジネスデザインユニット
2分析計測事業部Solutions COE グリーンソリューション ユニット
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。