特集論文
“バイオものづくりによる脱炭素社会への貢献”
島津評論 79〔1・2〕 3~13 (2022)
要旨
近年のバイオテクノロジーとデジタル技術の発展により,バイオものづくりの革新が進んでいる。バイオものづくりでは自然由来の原料から常温常圧条件下で物質を生産できるため,脱石油/ 温室効果ガス削減が期待され,バイオテクノロジーの活用による経済発展も見込まれることから二兎を追える可能性を秘めている。バイオものづくりへの取り組みとして,島津製作所と神戸大学は2016年から国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業に参画し,専用装置の開発を進めてきた。そして2020年3月に神戸大学におけるNEDO 事業成果などで培った技術をもとに,バイオものづくりに必要な機能を集約して設立されたのが,ベンチャー企業:バッカス・バイオイノベーションである。翌年2021年1月から島津製作所とバッカス・バイオイノベーションは業務提携契約を結び,有用物質の生産評価に関する装置開発を開始した。本稿ではバッカス・バイオイノベーションの設立までの経緯と,協業を行う意義,およびバイオものづくりによる脱炭素社会実現に向けた今後の展望について述べる。
1分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部細胞事業開発 室兼務バッカス・バイオイノベーション
2ロート製薬株式会社兼務バッカス・バイオイノベーション
3バッカス・バイオイノベーション
4バッカス・バイオイノベーション 博士(工学)
5バッカス・バイオイノベーション 博士(理学)
6神戸大学先端バイオ工学研究センター兼務神戸大学大学 院科学技術イノベーション研究科兼務理化学研究所環境 資源科学研究センター細胞生産研究チーム 博士(工学)
7バッカス・バイオイノベーション兼務神戸大学大学院科 学技術イノベーション研究科兼務理化学研究所環境資源科 学研究センター細胞生産研究チーム 博士(工学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。