特集論文
島津評論 78〔3・4〕 275~282 (2021)
要旨
分析サンプル中の化合物量の情報を得るため,クロマトグラムからピーク領域を判定するピークピッキング作業はバイオテクノロジーの基盤技術である。近年,ピークピッキングの高性能化の取り組みが多数報告されているが,作業の高速化に至っていない。そこで,著者らは,誰が使っても簡単に,熟練者と同様な結果を得ることを目指し,深層学習を用いたピークピッキングソフトウェア Peakintelligence を開発した。まず,食品,生体サンプルから取得したクロマトグラムを用いて,訓練データをデータ拡張した。拡張した訓練データと検証データからピークピッキングネットワークを構築し,パラメータフリーなピークピッキングソフトウェアを開発した。学習データとは別のテストデータを用いて修正時間を評価した結果,Peakintelligence の修正時間が,二つの従来のソフトウェアよりも短縮されたことを確認した。この結果から,Peakintelligence がピークピッキングにかかる時間を短縮し,クロマトグラフィーを用いた定量分析のボトルネックの解消につながることが示された。
1分析計測事業部 IT ソリューションビジネスユニット 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(情報科学)
2基盤技術研究所 AI ソリューションユニット
3分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユ ニット
4分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユ ニット 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部
6富士通株式会社 DX サービス事業部 AI サービス部
7富士通株式会社 DX サービス事業部 AI サービス部 博士(理学)
8分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 兼務 大阪大 学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(薬学)
9大阪大学大学院 情報科学研究科 兼務 大阪大学・島津分析イ ノベーション協働研究所 博士(農学)
*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。