島津評論 Vol.78[3・4](2021)
特集 先端技術開発

特集論文

マルチオミクス解析パッケージの開発

山田 洋平1安田 弘之2金澤 慎司3堀江 征司2山田 真希4黒田 博隆5Jaffuel Aurore2野田 陽1梶原 茂樹1種田 克行2Samik Ghosh6松岡 由希子7北野 宏明8松田 史生9福崎 英一郎10飯田 順子11

島津評論 78〔3・4〕 265~274 (2021)

要旨

メタボロミクスは医薬品開発などで活用されている一方で,一斉分析化合物数の増加と装置スループット向上に伴う,膨大なデータの解析が分析ワークフローのボトルネックとなっている。今回著者らは,測定データの解析や解釈を支援するマルチオミクス解析パッケージを開発した。膨大なデータの解析には,可視化や統計解析など複数のソフトウェアを介する必要があるため,フォーマット調整など煩雑な作業が必要であった。本ソフトウェアは,フォーマット調整の必要がなくソフトウェア間の連携が可能な Garuda Platform 上にパイプラインを構築することで,統計解析結果を反映した可視化などの解析結果が容易に得られる。また,分析条件などを検討することなく Ready-to-use に分析可能な4つのメソッドパッケージ向けの可視化用代謝マップを作成した。これにより,当該メソッドパッケージ,本ソフトウェアを用いることで,メタボロミクス初心者でも条件やパラメータの検討が必要なく分析・解析・可視化でき,測定データを解釈しやすくなると期待できる。


1基盤技術研究所 AI ソリューションユニット
2分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 MS ビジネスユニット
3分析計測事業部 IT ソリューションビジネスユニット 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(情報科学)
4分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター 博士(エネルギー科学)
5分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 細胞事業開発室
6システム・バイオロジー研究機構 Ph.D.(Computer Science and Engineering)
7システム・バイオロジー研究機構
8システム・バイオロジー研究機構 博士(工学)
9大阪大学大学院 情報科学研究科 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(農学)
10大阪大学大学院 工学研究科 兼務 大阪大学先導的学際研究機構産業バイオイニシアティブ研究部門 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(工学)
11分析計測事業部 ライフサイエンス事業統括部 兼務 大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所 博士(薬学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。