島津評論 Vol.78[3・4](2021)
特集 先端技術開発

特集論文

マルチデバイス生体計測システム HuME(Human Metrics Explorer)TM の開発と応用

浦岡 泰之1吉田 康紀1村田 耕一2木瀬 香保利3北河 茜1冨田 定1古田 雅史1務中 達也3岡田 志麻4佐藤 弥5

島津評論 78〔3・4〕 245~254 (2021)

要旨

生理信号から人間の内面状態を推定する技術は,幅広い領域で応用が試みられている。サービスへの適用には,使用体験とひもづいた指標が必要であり,その開発にはさまざまなデータを統合解析することが有用である。著者らは,複数の計測デバイスに対して「時系列を合わせるためのマーカー信号をもとに,各デバイスの計測データを切り出す」手法で,複数の生理信号や動画の計測・記録の手間を低減し,各サービスに応じた生理信号由来の指標開発を支援するマルチデバイス生体計測システム HuME(Human Metrics Explorer)を開発した。本稿では,複数デバイスで取得した生理信号を扱う HuME システムのコンセプト,これを実現する具体的なシステムの構成概要,アプリケーション開発を目的とした検証実験例を紹介する。感情推定への応用では,装着負担の低いデバイスを開発し,製品やサービスを体験中の生理信号と動画を統合解析して,表情表出の推移を捉えた。同様に睡眠計測への応用では,動画解析で就寝中のイベントを詳細に把握できることを実証した。


1基盤技術研究所 脳五感ユニット
2基盤技術研究所 脳五感ユニット 博士(人間情報学)
3基盤技術研究所 脳五感ユニット 博士(工学)
4立命館大学理工学部 ロボティクス学科 博士(保健学)
5理化学研究所 ガーディアンロボットプロジェクト 心理プロ セス研究チーム 博士(教育学)

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。